上から下への命令で乗り切る、気合・根性・努力の20世紀型の限界

4.20世紀型:PDCA×21世紀型:即実行

P(計画)→D(実行)→C(評価)→A(改善)は、多くの企業やビジネスパーソンが実践している業務改善のモデルです。しかし、20世紀型のPDCAは、サイクルの回り方が遅い、そもそもPDCAが回っていない、といった根本的問題を抱えていることが多々あります。

筆者が研修で訪ねた中で業績が伸びている企業の共通点は、このサイクルの回り方がきわめて速いということ。特に序盤が速い。「面白い」となったら、「即実行」。もたもたしない。そして、加速力もあります。ベンチャー企業でこのサイクルを採用していることが多いです。事業が軌道に乗った後は、通常のPDCAの4ステップへ移行しますが、そのサイクルも20世紀型と違って、すこぶる速い。意思決定、実行が常に「即」行われるのが特徴です。

嵐の海で灯台の明かりを頼りにするビジネスマンのイラスト
写真=iStock.com/retrorocket
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5.20世紀型:知識の獲得×21世紀型:知識の活用

新しい知識を獲得する目的のひとつは、その知識を活用して生産性を上げることでしょう。しかし、例えば、資格を取ることや研修を受けることで終わってしまう人が少なくありません。これも、受け身が基本の学校教育の弊害のひとつかもしれません。21世紀型経営の人たちは、はじめに「何をしたいか」があり、そのために「知識を獲得」します。

6.20世紀型:ピラミッド型組織と×21世紀型:ネットワーク型・コミュニケーション型

いわゆるピラミッド型組織は、これまで企業の基本型となってきました。この組織が機能するためには、指揮命令系統が明確で、上からの指示を部下がしっかり理解し、忠実にこなすことが最大のミッションです。そのため、自分の頭を使わず上からの指示を待つだけの社員も量産しました。

21世紀型企業も、表面的にはピラミッド型で一定の指揮系統は維持されますが、その中身はよりフレキシブルなプロジェクト型、ネットワーク型となっています。このタイプの組織の特徴は、上下関係よりもフラットな人間関係で動くことにあります。プロジェクトリーダーはいますが、あとはスタッフの役割分担と協調性・連携によって支えられています。自立して自分の頭で考える社員である必要があり、当然、指示待ち人間には務まりません。

7.20世紀型:気合・根性・努力×21世紀型:楽しい・面白い・ワクワク

「気合・根性・努力」型のメンタルは20世紀型というより、昭和型と呼ぶべきものかもしれません。2019年の総務省の統計によれば昭和生まれは人口の4分の3を占めているので、「自分はこれだ」という方も少なくないでしょう。もちろん、気合・根性・努力は悪いことではありません。しかし、21世紀型では、それに加え、「楽しい、面白い、ワクワク」の要素を取り入れています。

2015年に筆者がアイルランドにある、グーグルのヨーロッパ本社に訪問した際、社内見学をさせてもらい、社員に同社の企業活動をプレゼンテーションしてもらいました。「ワクワクを創出している企業」という印象を強く持ちました。社内は「クリエーティブでワクワク」という空気で満たされていました。嫌々ではなく、楽しくてしかたない仕事。デスクだけが並んでいる殺風景なオフィスとは全く異なります。