非正規切りの次は正社員、御社に吹き荒れるコロナ解雇の嵐
コロナ禍の業績悪化による“非正規切り”に続いて、正社員の本格的なリストラが始まろうとしている。
今年7月の非正規社員は前年同月比131万人の大幅減少となった。“派遣切り”も相次ぎ、7月の派遣労働者は125万人。6月から17万人も減少し、2013年1月以降、最大の落ち込みとなった。
正社員のリストラはどうかといえば、今のところ辛うじて“抑制”されているようだ。しかし、今後はわからない。
日本のリストラの代表的手法は「希望退職募集」である。
通常の退職金に一定の割増退職金を加算し、再就職支援会社のサービスを付けて募集する手法である。上場企業の2020年9月14日時点の早期・希望退職募集は60社、1万100人(東京商工リサーチ調査)。
前年を上回るペースで推移している。大手企業ではレオパレス21の1000人、ファミリーマート800人、シチズン時計750人、ノーリツ600人となっている。
しかし、“未曾有の経済危機”と言われる割には少ない。リーマン・ショック時の2009年の希望退職募集は2万2950人だった。国の雇用調整助成金によってしのいでいる企業も多いと思われるが、支給期限の終了も迫っている。
すでに三菱自動車は11月中旬から国内の45歳以上の社員を対象に550人の希望退職を募集することが報じられている。また、東芝もシステムLSI事業の約770人の希望退職や配置転換を行うとの報道もある。
リストラされた人たちがじわじわと転職市場に流れ始めている
正社員リストラの予兆は転職市場にも表れている。
エン・ジャパンの35歳以上のユーザー(2822人)を対象に実施した「ミドル世代の『転職理由』実態調査」(9月14日)で、「転職を考えたきっかけ・理由」を聞いている。
回答のトップは「会社の将来に不安がある」(40%)であるが、「会社都合(リストラ・事業縮小など)」が26%もいる。このうちコロナ禍以前から転職を検討していた人はわずか8%だが「コロナ禍以後から検討し始めた人」は21%もいる。リストラされた人たちがじわじわと転職市場に流れ始めている。