「12月末に希望退職者募り、1月末募集締め切りというスケジュール」

では、正社員の本格的リストラはいつから始まるのか。

東京商工リサーチは「年末から来年にかけ(希望退職)募集に拍車がかかる」と見ている。そしてその指標となるのが今年9月の中間決算の業績との見方がある。

建設関連業の人事部長はこう語る。

「当社は4~6月期の大幅な減益となり、2021年3月期決算の見通しは減収減益を予想している。中間決算を見て来期の見通しを立てることになるが、今年度の売り上げ減はしょうがないとしても赤字は避けたいところだ。もし、今年度決算が赤字の見通しになれば、来年度も含めて2期連続の赤字は絶対に避けたい。来年度に利益を出そうとすればリストラによる固定費の削減に踏み切る必要がある。今年度内に希望退職募集を実施するとなると、準備に最低3カ月はかかる。10月以降には計画に着手しないといけない」

つまり、9月中間期の業績しだいではリストラに踏み切る公算が大きい。しかも希望退職募集など人員削減計画の発表までは3カ月かかる。仮に来年3月末で退職してもらうとすれば「年内の12月末に募集開始、来年1月末募集締め切りというスケジュールになるだろう」(人事部長)という。

失業疲れやストレス
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コロナ解雇に踏み切る企業の「6つの予兆」

一般的にリストラに踏み切る前にさまざまな準備作業がある。不採算部門の整理・縮小などの事業計画の見直しによる経費削減目標を策定する。その中には人員削減規模と部門ごとの削減人数も入る。さらに人事部門は各部門の削減人数と削減対象者の確定。次に部門長による全員の面談を設定し、その中には優秀な社員の慰留とリストラ対象社員の退職勧奨も含まれる。それと並行する形で希望退職募集が社内に発表される。

社員にとって、リストラは避けてもらいたいところだが、最大の関心は自分の会社が本当にリストラに踏み切るのかどうかだろう。実はその前兆がある。人事関係者に聞くと、以下のようなものだ。

①中途採用の凍結・来期の新卒採用の抑制や中止
②残業代の抑制
③経費の抑制(出張費・交際費の使用制限など)
④突然の役員陣の交代
⑤9月中間期決算の減収減益
⑥業界トップ企業の希望退職募集