1963年の100歳以上は153人、それが2040年には30万人に

「超高齢社会」と呼ばれるほどの急激な高齢化には、おもな推進要因がふたつある。ひとつは長寿命化だ。1960年に生まれた人の平均寿命は世界全体で52歳だったが、2016年には72歳に上昇している。世界保健機関(WHO)の調査によると、近年の統計をとっている183カ国のすべてで平均寿命は長くなっている。

日本の長期的データでも長寿命化の傾向は顕著で、1900年に日本で生まれた人は平均で45歳まで生き、当時の全人口の平均年齢は27歳だったが、今日では日本の平均寿命は84歳、全人口の平均年齢は47歳だ。

この傾向は、高齢者のなかでもとくに年齢の高い層の増加にも表れている。日本政府は1963年から100歳以上の長寿者の追跡を始め、その年の人数は153人だった。当時は100歳に到達するということは、地元メディアで報道されるほどめずらしいことで、祝いの銀杯などが贈られたものだった。

2016年には100歳超えの日本人が6万5000人を数え、頑健な80代、90代がおおぜい控えていることから、2040年には100歳超えが30万人に到達すると予測されている。100歳の誕生日を迎えてももはや日本では地元のニュースにもならず、祝いの銀杯は純銀から銀メッキに変わった。

15歳未満の子どもは10人にひとりしかいない

急激な高齢化のもうひとつの推進要因は出生率の低下、すなわち少子化だ。こちらも世界的に似た傾向が見てとれる。

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WHOのデータによると、世界の出生率は1960年に比べて40パーセント下落した。日本の長期的データもまさにその動きを示している。1900年には日本の人口は約4400万人、子どもが5人いる家庭はごくふつうで、年間140万人の新生児が誕生していた。それが2015年になると、人口は3倍の、1億2700万人に増えたが、生まれる子どもの数は年間100万人程度に減り、子だくさんの大家族はめったに見かけなくなった。

秋田県は、人口に占める高齢者の割合の高さも日本一だが、子どもの割合の低さも日本一であり、15歳未満の子どもは10人にひとりしかいない(参考までに、ニューヨーク市では4人にひとりが15歳未満だ)。出生率が下がるということは、人口の平均年齢を下げるはずの乳幼児も含めた子ども全体の数が減るということであり、子どもの数が減るということは国が老いていくということなのだ。