「正しければ何をやってもいい」のか

毎日新聞取材班『SNS暴力 なぜ人は匿名の刃を振るうのか』(毎日新聞出版)

また、調査結果からは、自分なりの「正義感」に突き動かされて炎上に参加する人が多い傾向もうかがえた。タレントの不倫や一般人がアイスケースに入った写真をツイッターにアップした事案など、一時的に批判が集中した炎上事案5例について書き込んだ人に理由を尋ねると、いずれも「間違っていることをしているのが許せなかったから」との回答が最も多く3~5割を占めた。さらに「その人・企業に失望したから」を合わせると、いずれの事例でも6~7割を占めた。

山口准教授は「炎上参加者には情報を自分で摂取し、なおかつそれを自分なりに解釈している人が多い傾向が見えます。政治や様々な話題に対して、自信を持って、自分の考えを持っている。もちろん大半の人はそこで終わりですが、一部の人は自分と違う考えが許せない。そういう人たちが攻撃的な書き込みをしている可能性があります」と分析する。

その上で、「本人は正義感からやっているかもしれませんが、個人の価値基準での『正義』が社会的正義と相いれない場合もある。正しければ何をやってもいいという意識にブレーキが必要ではないでしょうか」と語った。

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