テレビ番組とネットニュースが炎上を増幅させる

吉野准教授は、炎上を拡大させる要因として、マスメディア、ニュースメディアの影響も指摘する。2015年に行ったウェブ調査で、炎上を認知する経路として「テレビのバラエティー番組」を挙げた人が50.4%と最も多く、「ネットニュース」が32.2%、「テレビのニュース番組」が28.5%と続いた。「ツイッター」(20.4%)や「2ちゃんねる」(18.4%)の割合は低く、既存のマスメディアやそれを引用したネットニュースの影響力が大きいと言える。

さらに、テレビのニュース番組で炎上を認知した人は、炎上した対象を非難する態度が形成されやすいことも分かった。ニュース番組では「炎上対象が不適切な行動をとったために炎上している」という論調で取り上げることが多いのが原因とみられる。マスメディアやネットニュースが多くの人に炎上を認知させ、さらに攻撃的な態度にも影響を与えているのだという。

炎上記事の量産が、「再炎上」を招く

実際、ツイッターでの炎上が、テレビやネットニュースなどで取り上げられると、さらに多くの人が参加し、再炎上するという現象が起きていることも判明している。吉野准教授は「たいして批判が広がっていないのに、やたらと炎上、炎上と書いて記事を量産しているネットメディアもある。報道を抑制するなど何らかのガイドラインを設ける必要があるのではないでしょうか」と提言し、こう続ける。

「背景には炎上と書けばPV(ページビュー)がとれ、広告収入が増えるなどの事情があるのかもしれませんが、炎上をコンテンツとして消費し続けることは好ましくない。そういうメディアに対して、企業も広告を出さないようにするなど自主的に規制することも対策の一つです」