再就職先(警備)の月給は当初32万から60歳時に継続雇用で20万に

そのまま60歳の時、今の会社で定年を迎え、継続雇用となりました。警備部門に配属が変わり、関連会社の警備室で警備員・管理者として働いています。

ただ、手取り月収は約20万円と、雇用保険からの「高年齢雇用継続基本給付金」がひと月あたり2万円強。定年を迎える前より10万円も減り、月22万5000円ほどの収入となりました。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Chachawal Prapai)

支出状況は変わりませんから、毎月4万円前後の赤字です。痛いのはボーナスの支給がないこと。そのため、赤字分は全額を蓄えから補填する暮らしとなってしまいました。定年時には今の会社からも退職金が出ましたが、勤務期間が短いため、100万円にも満たない程度でした。赤字補塡を2年ほど続けた結果、今の貯金額は約680万円まで減ってしまったということです。

一方で、見通しの明るい話もあります。

今の会社では70歳まで働く道が残されています。65歳までは継続雇用で、それを超えると嘱託社員として働けます。さらに収入が下がると言われていますが、70歳まで職があるのは助かります。最近の定年延長の話題の影響で、その年齢が75歳まで延長される可能性も出てきました。時々夜勤もある仕事ですが、体力が続く限り、できるだけ長く働き続けたいと考えているそうです。

63歳からは「特別支給の老齢厚生年金」月約10万円受給できるが

このように、田中さんは「長く働ける」「働きながら年金が受給できる」という2つの収入が得られる状況にあることがわかります。来年(63歳)からは「特別支給の老齢厚生年金」が受給でき、月に約10万円入ってきます。65歳からは基礎年金と厚生年金を合わせ月に約16万円です。

63歳からは、今の手取りに10万円ほどの収入が増えるので、黒字で暮らせます。65歳からも働くことができれば、給与収入が手取りで約14万円と言われているそうですから、年金と合わせ約30万円の収入となります。

働き続けるのなら月の暮らしには問題がないように思えますが、毎月の生活費が支払えればよいというだけではいけません。マンションの固定資産税や火災保険、また、家電の買い替えなど臨時で支出する必要も出るでしょう。

そういったものを支払うために貯金を使うと、老後資金にするはずだった貯金はあっという間になくなります。ですから働けるうち、収入があるうちは貯金を減らさないだけではなく、できれば80代、90代になった時のことを考えて、貯金額を増やすことも考えていく必要があるのです。