大事なのは「温度」
逆に、「水太り」とか「水を飲むだけで太る」というほうが摩訶不思議です。外来にいらっしゃる患者さんのなかにも、ときおり「水の飲み過ぎで太った」などとおっしゃる方がいるのですが、よくよく話を聞いてみると、お菓子を食べていたり、主食のごはんをおかわりしていたり、太った原因は水以外のところにあります。
本当に水だけで太った人は今まで見たことがありませんし、水だけでは太りようがありません。
水を飲むことは、基礎代謝を上げる助けになります。こまめに水分補給をするようにしましょう。
そのときに大事なのは、水の温度です。代謝を上げるには、温かい水よりも冷たい水(体温よりも低い温度)を飲みましょう。これは、水に限らず、飲み物全般に共通していえることです。
自ら体温を上げる生活をする
水を飲むなら温かい水よりも冷たい水のほうが代謝は上がるというのと同じで、温かい部屋で厚着をしてぬくぬく過ごすよりも、少し肌寒さを感じるほうが代謝は上がりやすくなります。
これについては、私が出演したテレビ番組で、次のような簡単な実験を行ったことがあります。冷え性を自覚している人たちと冷え性ではない人たちに、薄着をして寒いところに立ってもらい、それぞれ体温がどう変わるかを調べたのです。
「自称・冷え性」のグループと「自称・冷え性ではない」グループで、体温はどう変わったと思いますか。
じつは、「自称・冷え性」の人たちは「寒い、寒い」と言いつつも、脇で体温を測ってみると37度を超えていました。一方、「自称・冷え性ではない」人たちは体温が下がっていました。
この差はどうして生じたのかといえば、冷え性を自覚している人たちは寒いからこそ震えたり、脇や手をこすり合わせたりして、自然と体の内側から熱をつくりだしていたのです。一方で、冷えを感じていない人たちは平然としているので、どんどん熱が体外に逃げていって、じつは体は冷えていたのです。