「どうやって体温を上げたのか」がポイント

上がり過ぎた体温を下げるためにエネルギー消費が増えるので、一時的には代謝が上がります。たしかに家で横になっているよりはエネルギーを多く消費するものの、たとえば運動をして汗をかくのと同じくらいのエネルギー消費量があるかというと、そうではありません。

運動をして汗をかくのも、サウナに入って汗をかくのも、同じように充実感があるかもしれません。むしろ汗の量でいえば、サウナのほうが多いかもしれませんね。どちらも上がり過ぎた体温を下げるために汗をかくことは同じですが、「どうやって体温を上げたのか」が異なります。

運動の場合、自分で筋肉を動かしてエネルギーを消費した結果、熱が生まれて体温が上がるわけですが、サウナの場合、自分で筋肉を動かして熱を生みだしているわけではありません。体温を上げるほどの熱を生みだしているのは何かといえば、サウナ室の片隅にあるヒーターです。

筋肉を動かして自分で熱をつくりだす

お風呂も同じです。半身浴だろうと全身浴だろうと体が温まるのは、ガスや電気で温まった水から熱をもらっているわけですよね。自ら熱をつくりだして体温を上げているわけではありません。

池谷敏郎『代謝がすべて』角川新書
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たとえお風呂で1、2時間の半身浴をしたとしても、がんばってエネルギーを消費して熱をつくりだしているのは、給湯器のほう。残念ながら、お風呂に入っている私たちではありません。

上がった体温を下げるために代謝は多少上がるとはいえ、その効果は微々たるもの。数十分のサウナや1、2時間の半身浴では、その後の楽しみのビールやつまみを帳消しにしてくれるほどのエネルギー消費にはなりません。

ちなみに、たとえサウナ後に体重が減っていたとしても、それは、水分が減っただけです。脂肪が燃焼されたわけではありません。

基礎代謝を上げるには、熱をつくりだす作業を他人任せにしてはいけないのです。筋肉を動かしてエネルギーを消費し、自分で熱をつくりだす。それが代謝を上げる基本です。

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