なんでも「少々お待ちください」で確認するのは非効率

(1)上下関係がない

まず、大幅な権限移譲をしました。

村山太一『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? 偏差値37のバカが見つけた必勝法』(飛鳥新社)

一般的な高級レストランでは、キッチンではシェフが、ホールでは支配人が全ての権限を握っていて、ほかのスタッフは駒のように動く。絶対的な上下関係が常識でした。

ホールでの接客は、基本的に全て支配人が行います。ほかのスタッフがお客様から声をかけられても、「少々お待ちいただけますか」とお客様に伝えて、待っていただかなければならないこともあるんです。

でも、僕のレストランではそれをやめました。未経験で入ったばかりの子でも、きちんと仕事を教えたうえでですが、接客してよいことにしました。

キッチンでも、シェフが全てのメニューを決めて、全ての料理の味見をするのが普通です。スタッフの腕前がどんなに良くても、基本的に上下関係は超えられないんです。

僕のレストランでは、僕の許可なくメニューを決めたり、味見なしで出してもよいことにしました。もちろん、それだけの腕前があるという判断があってのことです。

うちの店では、誰が偉いっていうのはないんです。みんなが偉いんです。

忙しければ別の場所の仕事もフォローする

(2)セクション間の垣根がない

一般的な高級レストランでは、ホールの仕事とキッチンの仕事ははっきり分かれています。どちらかが忙しくても、お互いに手伝うことはあまりないんです。

でも僕のレストランでは、キッチンのスタッフがテーブルまで料理を届けに行ったり、ホールのスタッフが皿洗いをするなど、忙しいときのフォローを徹底しています。

(3)常に全体最適

僕のレストランでは、自分が楽をするとか得をすることではなくて、常にチームにとって何がベストかをスタッフ全員が考えてくれています。スタッフ間では常に、ホールとキッチンの接点のところで、めちゃくちゃ密にコミュニケーションをとっています。

今お客様がどんな状況なのか、どうしたら喜んでいただけそうか、料理がいつできるのか、何か問題が起こっていないか、起こっていればどう対処するのか、などなど。ひたすら声を掛け合って、頭の中を同期(最新情報の更新・共有)しているような感じです。