そして、大学や研究機関の活動は止まった
安倍首相は、2月27日、突然「学校での子どもたちへの集団感染を防がなければならない」と全国一斉休校を要請した。側近の官邸官僚と決め、文科省への相談は後回しだ。
蚊帳の外に置かれた萩生田光一文科大臣は驚きを隠さなかったが、教育現場に休校を強くプッシュする。厚労省が検査数を増やせず、四苦八苦していても手を出さない。年々、予算を削られていた感染研は、従来の保健所、地方衛生研究所との連係で検査データを抱え込み、失地回復を図ろうとする。厚労側はテリトリーにしがみつき、文科側は不作為で応じる。大学や研究機関の検査能力はまったく活かされなかった。
3月下旬に東京五輪の延期が決まり、4月7日に政府による緊急事態宣言が出された後、学生の大学への通学は禁じられた。研究も必要最小限の入室以外は認められなくなる。
事実上、大学や研究機関の活動は止まり、国難を突破するための検査拡充は遠ざかったのである。
もしも日本モデルがあるとすれば、古色蒼然たる「大臣の縄ばり」だろうか。