万人受けする味だとは思っていない

「今も覚えていますが、プレミアムチーズケーキが出たばかりの当時、社長の原に聞かれたことがあったんです。どうしてプレミアムなのか、と」

プレミアムという言葉が世の中で広く使われる以前のことだ。

「それで答えたんです。レシピがプレミアムなんです、と」

ただ、それが世の中に伝わるには時間がかかった。

「だから、プレミアムじゃなかったものが、だんだんプレミアムになっていったんですよ。そんなストーリーがあるんです。そして、それは多くの方々が、さまざまに応援してくださったからだと思っています」

上阪徹『成城石井 世界の果てまで買い付けに。』(自由国民社)

スペシャリテを作りたい、という夢が成城石井で果たせた。

「実際には、万人受けする味だとは思っていないんです。この味を受け付けない人もいるかもしれない。この食感、このカロリーはないだろうという人もいる。でも、万人受けするけれども特徴がないものは作りたくなかった。成城石井のケーキはこんな味だ、というイメージを作りたかったんです。逆に、らしくないものを作ったら、お客さまに申し訳ない。その思いだけは、ずっと持って開発をしていますね」

成城石井だからこそ、プレミアムチーズケーキは成立したのだ。

「過去に修行した店でこれを出しても、こんなことには絶対になっていない。もともとのお店の信頼と、お客さまのアンテナの高さが合っているから支持されているんです。成城石井だったからできた。それは間違いないですね。ここまで合致するとは、思わなかったんですが(笑)」

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