軽々しく相手の家族のことを聞かない
【田村】進次郎さんが人間関係で「最も大切にしていること」は何ですか?
【小泉】私の両親は、私が一歳のときに離婚しています。だからそのことを理解してからは、五月の「母の日」に同級生が「お母さんに手紙を書いた」などといっていると、なんとなく肩身が狭くなったものです。
【田村】近年は一人の親家庭も増えています。
【小泉】だからこそ、一人親家庭が少なくないことを忘れてはならないと思います。私には軽々しく相手の家族のことを聞かないという癖がついています。どんな話が心の傷をえぐるようなことになるか分からないからです。私自身、子供のころから心ない言葉に傷ついてきましたから……。
【田村】確かにずけずけとプライベートのことなどを聞いてくるような人が多い。
【小泉】よくそんな心の傷をえぐってしまう可能性がある質問をできるな……と感じてしまうこともあります。できるだけ顔に出さないようにしているけど、デリカシーのない人だなと思いますよね。
「小泉くんのお父さんは政治家だから仲良くしておきなさい」
【田村】嫌なことを聞かれても、その場では笑顔で対応できる。それが進次郎さんの人気の理由の一つなのかもしれませんね。
【小泉】中学校のときのことで、いまだに忘れられないことがあります。私は小学校から大学まで関東学院に通っていました。そのため小学校から中学校に進学しても、基本的に友達は変わりませんが、外から新しい同級生が入ってきます。そんな新しい同級生の一人に、以下のようにいわれたのです。
「ねえねえ、小泉くんだよね? お母さんが『小泉くんのお父さんは政治家だから仲良くしておきなさい』というから友達になろうよ」
【田村】あまりにも露骨な言い方ですね。
【小泉】だから怒りを通り越して、この同級生から何か大切なことを教わった気がしました。世の中は私をそう見ているのかと……。
その後、私が大学生になると、父・純一郎が総理大臣になった。すると「小泉進次郎」ではなく、「小泉総理の息子」と見られました。
さらに兄・孝太郎が芸能界に入りました。そうすると「小泉総理の息子であり、孝太郎の弟」と見られるようになり、私のことを「小泉進次郎」と見てくれる人は誰なんだろうかと思った。小学校からの友達は、私を「小泉進次郎」と見てくれて、それ以前と変わりなく付き合ってくれました。だから私はいまも彼らのことを大切にしています。
【田村】人と付き合ううえで、それは大事なことですよ。
【小泉】いま私は様々な分野の有名人と会う機会がたくさんあります。有名人特有の苦労は想像つくし、きっと似たような経験をしている人も多いと思う。
【田村】確かに有名人特有の苦労はありますね。私が政務調査会室長として、政調会長の橋本龍太郎氏に仕えていたとき、毎日多くの人が面会に訪れるものだからビックリしました。次期総理と見られていたのだから当然なのかもしれませんが。