「たとえば、ウェブ面接では緊張気味だと、オドオドした表情が反映されやすくなります。またズームの扱いに慣れていないと、操作ばかりに気を取られて集中できていないのが一目瞭然です。結局、ウェブに柔軟に対応できずに、自分らしさが出せないまま面接が終わってしまう人が少なくありません」(吉井氏)

また、いきなりバッテリーが切れたり、画面がフリーズしたりというアクシデントが発生したときも注目だ。

「突発のトラブルに上手く対応できるかどうかを見る絶好の機会です。また、コロナ禍でいきなりデジタルの時代に移行して、どれだけデジタルに慣れているか、使いこなせているかも、企業側にとっても大きなチェックポイントになるでしょう」(吉井氏)

スマホのズームで面接を受ける学生

最近はパソコンを持っていない学生も多く、スマホのズームで面接を受ける学生もいたという。

「自宅にWi-Fi環境が整っておらず、カフェなどからアクセスしてくる人もいたものの、できれば自宅の落ち着いた部屋で面接を受ける人のほうが、社会人としてのTPOをわきまえた人材に育つと判断できます。また、自宅の部屋からアクセスした面接の際、部屋のなかが散らかっている人がたまにいますが、整理整頓がちゃんとできていないのはマイナスポイントになります。背景にまで気配りができているかどうかも見ておいたほうがいいでしょう」(冨樫氏)

吉井氏はウェブでの会話の仕方も要チェックだという。

「対面であれば、1人が一方的に30秒ぐらい話してもそれほど苦痛ではないと思いますが、ズームだと30秒ほど話し続けると、すごく長く1人でしゃべっている感覚が残ります。自分が言いたいことは15秒程度で完結させるよう気遣っているかどうかも見てください。もう1つは『、』(読点)で話をだらだらと続けてしまうのではなく、『。』(句点)で言いたいことを一つひとつ区切って話す人かどうかです。メリハリのある話をする人なら、物事に対する思考能力も高いと判断できます」

20年のウェブ面接では、ズームの機能を上手く活用した新たなスタイルが登場した。

「エントリーシートをパワーポイントで作らせ、ズームの面接でプレゼンテーションさせた企業がありました。これだと学生のプレゼンの技量やセンスが一発でわかります。私が面接官なら、前に触れたこれまでの人生のなかでの自分の失敗談と、そこからどう這い上がってきたかをテーマにしてプレゼンしてもらいます。そうすればプレゼンの技量やセンスと一緒に自己認識力や胆力も見ることができて、まさに一石二鳥になるからです」(吉井氏)