まず吉井氏は「通常なら経済団体連合会が告知している3月1日に説明会が解禁になり、東京ビッグサイトなどの大規模な会場で始まるのですが、20年はそれができなくなりました。そして、企業も戸惑いながら、いきなりオンラインを導入することになったのです。当初、試行錯誤はあったものの、瓢箪から駒ではないですが、使い勝手がいいことに気づきました」と話す。

一方で冨樫氏は、ウェブ採用は自社の求人に興味や関心を持っている学生を集める「母集団形成」に大きな効果を発揮したと分析。これまでの母集団形成のツールは就職サイト・SNS、合同説明会、学内セミナー、大学・研究室訪問などだったが、年々減る働き手のなかからどうやって優秀な人材を見つけ採用していくかは企業の大きなテーマだった。ここにウェブ採用が加わって、意外な効果をもたらしたという。

日本の各地にいる応募者が気軽にエントリーできる

「ウェブでの説明会や面接で、日本の各地にいる応募者が気軽にエントリーできるようになり、募集範囲が一挙に広がりました。そして、密度の濃い母集団形成を効率的に行うことができることから、多くの企業の人事部がウェブ採用をポジティブに捉えています」(冨樫氏)

実は、遠隔地にいる応募者にとってもウェブでの就活は、交通費、宿泊費、時間などの節約や効率化に役立っている。

「北海道から九州まで、就活で彼らが出費する金額は、飲食代も合わせると11万~23万円もかかる。これがほとんどいらなくなるので、応募者にも利点が大きい。採用のグローバル化が進めば、世界中の応募者にウェブでアプローチできるようになり、企業にもメリットが大きいのです」(吉井氏)

ウェブでの面接で人数をこなせるようになった点も見逃せない。近年は大企業でさえ人事部は10人規模のところが多く、その人数で数千~1万人以上の応募者に対応しなければならない。

「この時期の人事部の残業時間は相当なものです。これがウェブになり1次面接でズームを取り入れたら、効率が段違いで良くなったと言います。通常であれば1人で1日・10人の面接がマックスでしたが、ウェブでやると30人まで可能になった。面接コストが確実に下がったわけです」(吉井氏)

また、対面だと面接時間は1人につき30分から1時間弱だが、ウェブだと1人15分から20分と短く、双方にとって時間の節約にもなる。

「1次面接は1人の面接官が1人の応募者に対応します。すると判断が迷った場合、自分では決めきれないので、とりあえず2次面接に回すことになりがちです。しかし、ウェブ面接になってズームの録画機能を使うと、もう1度、採用担当者全員でチェックできるので、甘い選考を排除しやすくもなりました」(吉井氏)