新型コロナウイルスの感染拡大で景況感が急速に悪化している。深刻度は2008年のリーマンショック以上だと言う人も。先行きが不透明、不安だけが大きくなる状況下においては、転職したいと思っていても躊躇してしまう人が大半だろう。しかし、人材紹介・企業の事業推進支援などで活躍するオプティマス代表の広富さつきさんは、「リーマンショックとコロナ禍は違う。転職市場では積極採用を継続している企業も多い」と言います――。
オフィスで応募者と面接を行う人事担当者
※写真はイメージです(写真=iStock.com/Phawat Topaisan)

人事戦略に見直しの動き

新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言によって、国全体の経済や景気が心配されています。今年は業績予測を見送る企業も多いのではないでしょうか。コロナが自分たちの事業に短期・中長期のレンジでどのように影響してくるのか、読み切るのはかなり難しいためです。この外部環境変化を受入れた上で事業を継続・成長させるために、多くの企業で事業戦略、人事戦略が見直されています。企業によっては、未来への投資である新卒採用を大幅に抑える、成長戦略が見えない中で中途採用をいったんストップする、などの動きが出るのも無理もないのです。

では、すべての企業に同じような傾向があるだろうと思う方がたくさんいらっしゃると思うのですが、正社員を対象にした転職市場においては、積極採用を継続している企業も多いのが事実です。大きな外部環境変化を経てなお、未来への投資を継続する意思決定をし、他のコストを削ってでも、成長戦略の担い手となる人材を採りにいきたいと考える企業は多いのです。

もちろん、観光、外食、アパレル業界など採用数がかなり減っている業種もありますが、市場の全体感としては、転職をあきらめてしまう必要はないと感じています。