消費者対応、メディア広報、企業広報と、約20年のキャリアを一貫してコミュニケーションを専門に歩んできた嘉納未來さん。けれど、若手時代には気負いすぎて電話口で相手に激怒されたことも。今も戒めとしている最初の失敗とは──。

お客様相談室の派遣社員からスタート

嘉納 未來(かのう・みき)さん
写真=ネスレ日本提供

「元々はすごく人見知りなので、ずっとお客様対応や広報の仕事をしているのは自分でも不思議。心を開いて接してくださる、たくさんの方々に出会えたおかげだと思います」

明るい笑顔と、優しく親しみのこもった口調が印象的な嘉納さん。人との対話を大切にする姿勢は、人見知りという自覚ゆえに培われたものなのかもしれない。大学時代に「対話を通してサービスを提供し、誰かに喜んでもらいたい」と思うようになり、消費者対応業務を中心に就活。大手損保会社の事故対応部門で社会人としてのスタートを切った。

希望通り顧客と直接対話する仕事ではあったが、話せるのは事故という緊急事態の時だけ。「もっと普段の生活に寄り添うような対話がしたい」と退職し、お客様相談室のコミュニケーターを募集していたネスレ日本で、派遣社員として働き始める。

嘉納さんのはつらつとした対応ぶりが目を引いたのだろう。翌年、上司から声がかかり、「ネスカフェ」のファンを対象にしたプログラムの、新しいコールセンターに正社員として迎えられる。消費者対応という点は同じでも、このコールセンターに期待されていたのは「積極的なファンづくり」。電話してきたお客様との友達のような関係をつくるスキルが求められた。

「お客様がコミュニケーターを友達だと思ってくださるように、1本の電話で最低6分はおしゃべりしてほしいと言われました。対話を通してホッとしていただいたり、喜んでいただいたりするための取り組みで、まさに私がしたかった仕事でした。本当に楽しかったです」