化粧品、宝飾のPRで活躍。興味のあった食品業界へ

曽根智子さんは、大学でマクロ経済学を学んだ後、化粧品業界を目指してポーラに入社。3年目に広報担当となった。1990年代初め、まだ広報は問い合わせに答えることが主業務で、戦略的にブランディングをする部署とは考えられていない時代。しかし曽根さんは、記者発表会などを積極的に展開し、ほぼゼロの状態からPRという業務を確立した。「でも、最初は人脈もないし、知識もないし、ダメダメでしたね」と振り返る。

カゴメ 執行役員 健康事業部長 兼 女性活躍推進担当 曽根智子さん
カゴメ 執行役員 健康事業部長 兼 女性活躍推進担当 曽根智子さん

「それでも半年後には、自分なりに仮説を立ててやったことがいい感じに回り始めたなという実感があって、そこから広報の仕事が面白くなりました。ポーラは訪問販売なので、メジャーな雑誌に商品が載ることでポーラレディのモチベーションも上がるし、広告ではなく美容特集に載ると、ダイレクトに売り上げにつながる。そこが面白かったです」

コミュニケーション業務の面白さに目覚め、次は宣伝部へ。しかし、そこで打ち出した広告などが、すぐに他社に模倣されるようになり、疲弊気味に。そこでフィールドを変えようと思い、真珠の販売で世界一のシェアを持つミキモトへ転職する。

「同じ広報でも、会社によって優先順位が違うので、自分の思い込みが通じない。ミキモトでは最初『私が違うんだ』と思い、落ち込みましたが、持ち直しました(笑)」

化粧品と宝飾。華やかな世界で表に出る仕事を経験し、次は食品メーカーのカゴメへ。課長候補クラスの求人があり、カゴメの求めるスペックにぴったりとハマった。当時、子育てをするうえでも海外出張は少ないほうがよかったこと、もともと食品に興味があり栄養学を勉強していたことなど、曽根さんにとっても、この話は運命的なものだった。

「でも、入社を決断した一番の理由は、それまでの職場がどこかドライで、それが普通だと思って仕事してきたけれど、カゴメに行ってみたら、こんなにみんな優しくて温かくて人間味あふれる人たちがいるんだという驚きがあったから。単純に、いい会社だなと思っちゃったんです」