ウェブのほうが有利なマインドセットの測定

百戦錬磨の採用担当者でさえ、採用してから「なぜこんな人材を採ってしまったのか」と後悔することが多々ある。ウェブ面接で注意すべき点について見ていくことにしよう。冨樫氏は、ウェブ面接でも対面と同様、採否を決める際は「スキルセット(職務遂行に必要な技能、経験、専門知識、コミュニケーション力)」と、「マインドセット(ヤル気、コミット力、雰囲気、人柄、企業文化へのフィット感など)」の2つの評価軸を重要視してほしいと訴える。

「スキルセットは、対面もウェブも変わらず割と簡単に評価できます。問題はマインドセットです。『この人、入社前に言っていたことが全然できてない』という不具合があったりしますが、それは面接で応募者一人一人のマインドセットを見抜くのが難しいからです。ただ、意外かもしれませんが、ウェブ面接のほうが個々人のマインドセットを見抜きやすいという側面があります。対面だと、ジェスチャーや醸し出す雰囲気から『ヤル気がありそうだ』と判断してしまうなど情報過多になるんです。一方、ウェブ面接だとそういう情報が削ぎ落とされるんですね」

マインドセットについては、冨樫氏の識学では、正確に評価するため、8つの要素で全体像を把握することを推奨する。それが図にある「自己評価」「組織内位置認識」「結果明確」「成果視点」「免責意識」「変化意識」「行動優先意識」「時感覚」。そのなかでも特に注意深くチェックしたほうがいいのが、「自己評価」と「組織内位置認識」なのだという。

自己評価は「自分の評価は自分が決めると考える意識」のこと。端的に言ってしまえば、自己評価の度合いが強いと、自分を客観視できず、主観に基づいて自己を評価してしまいがちになる。「その自己評価の強い人は年齢を重ねるともう治りません。私たちの臨床的な経験から見ても、自己評価の強い人を面接で弾くだけで、入社後の不具合はミニマイズできます」との冨樫氏の指摘にはぜひ耳を傾けたい。

潜在的な問題児は見解を述べる

では、自己評価が強い人を見抜くにはどうすればいいのだろう。中途採用なら「これまでに全力で取り組んだ仕事とその達成度を教えてください」という質問で見抜けると冨樫氏は言う。

「40歳の応募者の面接で、これまでに頑張った仕事を聞いて、『お客さまに喜んでいただけたことです』と返答があったとします。でもこれは単なる自分の『見解』にすぎず、自分を客観的に評価できていません。逆に客観的に評価できる人は『毎月何件成約しました』といった『事実』を示します。答えが見解にすぎないのか、それとも事実を正確に示すのかを見ていくだけで、自己評価の度合いを測定できます」