「プラットフォームとしてのデザイン」を作った

——今、具体的にどのようなパッケージ変更を行っているのですか。

納豆とパン、豆腐などから始めています。今回のPBには、「L basic(ベーシック)」と「L marche(マルシェ)」の2つのラインがあります。

ベーシックは生活において基本、定番となるもの。ベージュとグレーの2色で、ベージュは米、パン、牛乳、卵、調味料といった食品、グレーはトイレットペーパー、ティッシュなどの生活用品です。写真や絵がなくてもわかる定番商品ばかりなので、パッケージも文字のみです。

マルシェは冷凍食品、お菓子などです。こちらはベージュの地を大きく取り、プラットフォームとして機能するデザインにしています。

画像提供=ローソン
「L basic」の商品(左)、「L marche」の商品(右)

正確に言えば、デザイン変更ではなく、カテゴリの変更なんです。たとえば納豆は文字だけで表現するベーシックに入れていましたが、想定以上に種類があるので、写真やイラストで補足できるマルシェに入れることにしました。また食パンもさまざまな種類をすべてベーシックに入れていたので、一部をマルシェに移動。ベーシックに残す食パンも、価格やアレルギー表示などの情報を目立つ形に変えました。

「新しいローソン」に向けたPB刷新

——佐藤オオキさんがローソンのPBを手掛けることになった、そもそものきっかけを教えてください。

PBデザインで依頼をいただいたというよりも、定期的に竹増社長とお話をする中で、ローソンというブランドをどうしていくか、という大きな課題が持ち上がったんです。

これまでコンビニの強みは「利便性」だったと思うのですが、それがEC(ネット通販)に取って代わられました。さらに量を買う人はドラッグストアやスーパーマーケットへ、こだわりを持って買い物する人は専門店やECへ。

そうしたなかでコンビニに期待される役割は、「利便性」の要素の一つである「時短」にフォーカスされていった。ただ、時短だけでなく、社会的な意義もちゃんと果たせなければ長期的には生き残れない。そこから新しいコンビニ、新しいローソン、そしてロゴやPBの刷新へと話がつながっていったんです。

撮影=今村拓馬
取材は東京・赤坂のnendo東京オフィスで行われた。隣であくびをしているのはパグチワワのきなこちゃん。オフィスの人気者だ。