建前は「共存共栄」だが…
そんなわが国の「売上金預かり制」はテナントの資金繰りも収益も圧迫するから、大手外資チェーンは受け入れておらず、国内企業でも核の総合スーパー、サブ核のカテゴリーキラーや大型ファッション店は直接収納している。テナント店ばかりなら売掛金の回収日数は22.5日より長くなるはずで、ユナイテッドアローズは26.3日、TSIホールディングスは26.1日を要しているが、外資系のH&Mは9.2日、ZARA(インディテックス)は10.1日、ユニクロを展開するファーストリテイリングは9.6日に収めている。
結局のところ家賃の減免は部分的でありテナントの苦境を救うには不十分で、家賃支援給付金など公的救済に頼ることになるが、焼け石に水でしかない。売り上げの減少が大きく在庫の負担ものしかかり、不採算店を閉めたり破綻したりするテナントが続出することは日本でも避けられない。
デベとテナントの関係は共存共栄が建前だが、最低保障家賃やさまざまな共益費・協力金、キャッシュレス決済手数料の上乗せ徴収、出店時の内装監理費や工事協力金、退店時のペナルテイ徴収、定期借家契約の一方的な運用など、両者は対等とは言い難く、この機会に抜本から見直してサスティナブルな共存関係に改めるべきだろう。