後者には各店舗前に直接、車を乗り付けられるストリップセンターも含まれる。今後しばらくは必然にW.C.(ウィズコロナ)となるから、顧客の購買行動が生活圏にシフトし、テナントも家賃の安いオープンエアSCに流れるのは必然だ。

ディスカウントストアや食品スーパーなどを核店舗とするオープンエア型のショッピングセンター
写真=筆者撮影
ディスカウントストアや食品スーパーなどを核店舗とするオープンエア型のショッピングセンター

運営する不動産業者にも破綻の危機が

コロナ感染が第2波、第3波と長引いて家賃が払えず撤退する店舗が広がれば、さすがに商業施設を運営する大手不動産業者も経営が傾く。コロナ禍で破綻する最初の大手商業施設デベになりそうだと囁かれているのが、全米第6位のCBL&アソシエイツプロパティで、連邦破産法の申請を準備していると報じられている。

同社は米国中西部、南東部に108の商業施設を運営。支配所有する61モールの年間販売効率は147万円/坪、入居率も90%とクローズドSCの平均水準をクリアしていたが、19年は7億6870万ドルの収入で1億2860万ドルの営業損失、1億5370万ドルの株主損失を計上と、コロナ以前から業績が悪化していた。

このような状況の中、コロナ禍のロックアウトで3月中旬から全面閉鎖されたモールのうち5月の段階で66のモールが再開されたが、4月は請求した家賃の27%しか受け取れず、5月も同様な集金率だった。テナントの大半は長期休業や客数減で経営が悪化し家賃の軽減や支払い延期を要求しており、交渉が難航して家賃の回収は今年後半から来年になりそうだと開示している。それでは家主であるデべの資金繰りがつかなくなるのは時間の問題で、連邦破産法の申請を準備せざるを得ない。

不動産最大手のサイモン・プロパティー・グループとて家賃の遅延や不払いに苦しんでおり、大手アパレルチェーンのギャップ社を家賃不払いで告訴するなど対策を講じているが、株価もコロナ以前の160ドルから60ドル台まで落ちている。

日本の商業施設は容易に潰れない

一方、日本の商業施設デベロッパーは、米国のような悲惨な状況にはなりそうもない。日本ショッピングセンター協会(以下、SC協会)によれば、国内既存SCの売上高はコロナ危機で3月28.0%減(うちテナント売上高は30.7%減)、4月68.8%減(同76.2%減)、5月61.4%減(同69.1%減)と落ち込み、営業を再開した6月も都心施設が苦戦して15%減と回復が遅れており、売り上げが激減したテナントからは固定賃料や最低保障家賃の減免と猶予が繰り返し要求されている。