一方、メディアのジェンダー意識は…

ただ、こうした日本政治の遅れたジェンダー意識を支えているのは、監視する側のメディアにも原因がある。

1990年から国政選挙のたびに日本記者クラブが主催している党首討論会。過去10年の司会と代表質問者の性別は次の通りだ。

【2010年6月22日(参院選)】
司会:女性(TBS)
代表質問:男性(日本経済新聞)、男性(NHK)、男性(読売新聞)、男性(毎日新聞)、男性(朝日新聞)
【2012年11月30日(衆院選)】
総合司会:女性(TBS)
第一部司会:男性(NHK)
代表質問:男性(日本経済新聞)、男性(毎日新聞)、男性(読売新聞)、男性(朝日新聞)
【2013年7月3日(参院選)】
総合司会:女性(日本テレビ)
第一部司会:男性(NHK)
代表質問:男性(読売新聞)、男性(朝日新聞)、男性(毎日新聞)、男性(日本経済新聞)
【2014年12月1日(衆院選)】
総合司会:女性(TBS)
第一部司会:男性(NHK)
代表質問:男性(読売新聞)、男性(朝日新聞)、男性(毎日新聞)、男性(日本経済新聞)
【2016年6月21日(参院選)】
司会:女性(日本テレビ)、男性(NHK)
代表質問:男性(読売新聞)、男性(朝日新聞)、男性(毎日新聞)、男性(日本経済新聞)
【2017年10月8日(衆院選)】
総合司会:女性(TBS)
第一部司会:男性(NHK)
代表質問:男性(読売新聞)、男性(朝日新聞)、男性(毎日新聞)、男性(日本経済新聞)
【2019年7月3日(参院選)】
総合司会:女性(日本テレビ)
第一部司会:男性(NHK)
代表質問:男性(読売新聞)、男性(朝日新聞)、女性(毎日新聞)、男性(日本経済新聞)

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「第一部司会」は代表質問者だ。つまり、記者クラブを代表して質疑を行う記者は男性、司会は女性という枠組みが続いてきており、2019年にようやく質問者に女性が1人入った。ジェンダーギャップ指数121位の日本社会を投影するような性別分業だ。

新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言の発出を宣言した20年4月7日の安倍首相の記者会見でも、政治部の官邸記者クラブのキャップが主に参加していたが、質問した12人のうち女性は2人。うち1人はフリーランスだった。