日本テレビの女性記者からドメスティック・バイオレンス(DV)や児童虐待に関する質問は出たが、安倍首相は「国内においてまだそういう兆候が出ているということを、私は、報告は今、受けておりません」と答弁した。

実際には、学校の休校や外出自粛の影響でDVや児童虐待の問題が深刻化していることを訴え、その対策を求める「全国女性シェルターネット」の要望書が3月30日に安倍首相らに提出されていた。その要望書のなかには、「夫が在宅ワークになり、子どもも休校となったため、ストレスがたまり、夫が家族に身体的な暴力を振るうようになった」「かねてからDVで母子で家を出ようと準備していたが、自営業の夫が仕事がなくずっと在宅し、家族を監視したりするようになったので、避難が難しくなり、絶望している」など、切実な声が記されていた。

首相の答弁はそうした課題が政治の中枢で議論されていない証だった。

メディアこそ男性優位の意思決定が行われている

南彰『政治部不信 権力とメディアの関係を問い直す』(朝日新書)
南彰『政治部不信 権力とメディアの関係を問い直す』(朝日新書)

日本マスコミ文化情報労組会議は3月6日、メディア業界における女性管理職比率の調査結果を初めて公表した。

新聞・通信社は現在、新入社員ベースではほぼ男女半々になっているが、女性管理職は平均6.4%。38社中30社で1割未満。1人もいない社が6社あった。デスクやキャップなど社内で指導・教育的立場にある従業員を含む「広義の管理職」でみても、回答した35社中25社で女性が1割未満にとどまった。テレビ局も、在京・在阪のテレビ局には、報道部門、制作部門、情報制作部門に女性管理職(局長相当)は1人もいなかった。

「2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする」という政府目標にほど遠い状況で、新聞・通信・テレビともに「女性役員ゼロ」の社が多数を占めた。圧倒的に男性優位で意思決定が行われているのである。

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