自粛生活で染め方にも変化が
市販のヘアカラーには、押すと液体で出てくる「液状型」「乳液型」「リンス型」、泡で出てくる「泡型」、「スプレー型」などがある。液体でも、一剤と二剤を混ぜるタイプ、混ざって出てくるタイプなどさまざまだ。
自粛期間中、マンダムの売れ筋に変化が出ていた。
「ルシードのラインアップの中でも、『ルシード スピーディカラーリンス』が好調に推移しています。これは通常の白髪染めと異なり、シャンプー後のリンス代わりに使い、3分放置するだけで、簡単に白髪を目立たなくすることができる商品です。約5回の連続使用で、白髪が徐々に目立たなくなります。
外出自粛で、人と直接会う機会が少なくなり、しっかり染め上げるのではなく『目立たなくなる程度でいい』と、カラーリンスを選ばれる消費者が増えているようです」(同社)
例えば「オンライン会議の参加者」も、自粛期間が長くなるにつれて、身だしなみを工夫する人が増えた。職場の同僚など社内相手の場合と、取引先など社外相手とでは服装を変える人もいる。リモートワークでのTPOも育ってきた。
カラーリンスの伸びには、2つの消費者心理が考えられる。1つは「簡単・便利」という機能性、もう1つは「いきなり真っ黒にしたくない」という情緒性だ。メーカー視点では、機能的価値と情緒的価値の訴求になる。
これまで通勤が当たり前だった会社員も、リモートワークで新たな働き方を手に入れた。それに伴い高まったのは、「そこそこの見た目で十分」という心理だ。
続ける人が多い一方、「グレイヘア」への憧れも
最近では、白髪になっても染めない著名人も目立つようになった。女性では、近藤サトさん(フリーアナウンサー、日本大学芸術学部特任教授)が有名で、『グレイヘアと生きる』(SBクリエイティブ)という著書も出している。
男性では、俳優で歌手の陣内孝則さんや吉川晃司さんが知られる。
マンダムは、「ルシードの利用層である40代男性の多くは、それほど白髪量が多いわけではないので、継続して白髪染めをする方がほとんどです」と前置きしつつ、こう話す。
「少数ですが、『美しいグレイヘアを楽しんでいる芸能人へのあこがれ』や『定期的にずっと染め続けないといけない煩わしさ』を話す人もおられます」