以前、取材したファッション関連企業の男性経営者(当時60代)は、細身で上質なスーツを着こなすダンディな人だったが、美容院で「目立たなくする白髪隠しを勧められると断ります」と話していた。「何も足さない、が自分のモットー」だからだと言う。
今後は、こうした自然派も増えそうだ。
セルフ染めの傾向は続きそう
ここからは「支出」の視点で、withコロナ時代の消費者意識を考えたい。
今回のコロナ禍で、収入減に追い込まれた人も多いだろう。そうなると、生活防衛の心境から伸びるのが「内向きの消費」だ。
これまでも、飲食の世界では収入減になると、外食が減り、自宅で食事を作る機会が増えていた。自粛期間中も、総じて食品スーパーの売り上げが好調だった。
感染者が拡大する「第2波」問題もあり、白髪染めでも「美容院・理髪店ではなく自宅で」という傾向は高まるだろう。その場合のノウハウは、女性の達人に学ぶのもよさそうだ。
例えば、美容意識の高い女性でも「美容院での白髪染めは数カ月に1度」と決めている人が多い。ロングヘアでない限り「美容院できちんと染めた後、しばらくして目立ってきたら、自分でリタッチ(補正)する」という。この「リタッチ」も、前述のカラーリンス志向に似ている。あまり気負わない部分も参考になりそうだ。
最後に、白髪染めは、少なからず髪にはダメージがかかる。かぶれる人もいるので、実施する場合は、取扱説明書をよく読んで行いたい。