「御社の向かいにあるパスタのお店、最高ですね!」の威力
私は、この「話題価値」を、RPG(ロールプレイングゲーム)の「経験値」と同じものだと考えています。
たとえば、記念日の食事のお店選び。せっかくのハレの日に、的外れなお店に入って後悔したくありません。熟慮の結果、いつもの「馴染みの店」にする人も多いでしょう。しかし、これでは自分が「確実に倒せる敵」(=ザコキャラ)を倒しているのと一緒です。失敗こそしませんが、「経験値」は上がりません。
「話題価値」を得たければ、自分のフィールドから出て、未知の世界にチャレンジすることが大切です。たとえば「予約がとれないレストラン」の予約をコネでゲットするとか、ネットで紹介されていない「知る人ぞ知るお店」に突入してみるなど、「経験値が稼げそうな行動」を、わざわざ選んでいくのです。
私の同僚は、普段のランチでも、経験値の獲得に余念がありません。
会社周辺の店を制覇することはもちろん、新しいクライアントの担当になれば、その周辺のお店を一つひとつ攻略していきます。もちろんスマホからの情報も駆使しますが、それよりも実際に自分の足を運び、自分の舌で味わうことによって得た、現場ならではの情報を重視するのです。
「御社の向かいにあるパスタのお店、最高ですね!」
と、クライアントと話す「ランチネタ」を増やしているわけです。手間も時間もかかりますが、親近感を覚えたクライアントとの仕事がスムーズに進むことも多いそうです。
おもしろい雑談ができる人は、もとから話題が豊富で、話し好きな人に見えます。しかし、実際は人と会う場面に備え、水面下で常日頃から「雑談の準備」をしています。その根底には、つねに相手を第一に考える「相手ファースト」の精神があるのです。