スマホのせいでみんなで盛り上がれる「共通の話題」が激減

【雑談が苦手な理由】スマホによる変化①「共通ネタ」がなくなった

若い世代の人には信じられないかもしれませんが、少し前の日本では、男性は「プロ野球」と「ゴルフ」、女性は「ファッショントレンド」さえ押さえておけば、話題に事欠くことはほぼ皆無。国民全員が同じスポーツに興味があり、同じファッションに身を包んでいた、といっても過言ではありません。

その理由は明らかです。情報源が「テレビ、新聞、雑誌、ラジオ」の4つのメディアに限られていたからです。ほとんどすべての国民が、同じコンテンツを、同じタイミングで楽しんでいましたから、それらの話題にすればだいたい雑談がうまくいったのです。

それと比べて、現代はどうでしょうか。スマホを手にしたわれわれは、自分が欲しい娯楽を、自分が見たいときに、閲覧し消費できるようになりました。スマホは、究極のパーソナルメディアです。スマホは大衆の興味を分散化させ、みんなで盛り上がれる「共通の話題」を減らしてしまいました。だから以前に比べて、雑談のキモである「共通の話題」を見つけることが難しくなってしまったのです。

【雑談が苦手な理由】スマホによる変化②「物知り」の価値が下がった

まだインターネットが一般に普及していない1994年ごろ、『東京いい店やれる店』(ホイチョイ・プロダクションズ/小学館)という本が大ヒットしました。デートに使える、イケてるレストランを紹介した本でした。

本間 立平『武器になる雑談力』(きずな出版)
本間 立平『武器になる雑談力』(きずな出版)

当時、おいしいお店や、ワインの知識がある人は間違いなくモテました。口コミは貴重な情報源なので、「物知り」な人はリスペクトされたのです。私たちは、ふだんから「お役立ち情報」をせっせと仕入れておいて、雑談の機会があれば、それらの知識を披露していました。

しかし現在、誰もがスマホを使っていつでもどこでもネットにアクセスできるようになり、必要な情報は、検索すれば簡単に入手することができるようになりました。手元のスマホでどんな情報も「秒でゲット」できてしまいます。

頑張って「ウンチク」を身につけても、相手の手元にあるスマホの知識量にはかないません。スマホは、「知っていることの価値」を著しく下げてしまいました。