「日本全体の視点」と「地域の視点」のぶつかり合い

過日の緊急事態宣言は、日本全体の社会経済活動を抑制した。感染があまり拡大していない地域も含めて予防的に社会経済活動を抑制したため、経済的なダメージは著しかった。そこで政府は日本全体に対する経済支援策を講じざるを得ず、1次補正、2次補正を合わせて、事業費ベースで総額約230兆円、予算ベースで総額約50兆円の予算を組んだ。

加えてコロナ禍の直撃を受けた観光業・飲食業・イベント業を特に支援するために、政府は約1兆7000億円の予算をかけてGo To キャンペーン事業を打ち出した。

これは、「日本全体」の視点によって、「国民全体」が国内旅行や外食、イベントを楽しむことを促す政策である。

ところが、5月25日の緊急事態宣言の解除によって社会経済活動が徐々に再開されたことで、また感染者数が増えてきた。特に東京の増加傾向は顕著であり、最近では緊急事態宣が発令された4月7日前後のピークに近づきつつあるようだ。大阪も、そして他の地方都市も増加傾向になっている。

そこで、各地方の知事や市長からGo To キャンペーンについて異議が出始めた。知事や市長は、自分の預かる「地方・地域」の視点から、異論を出したのだ。

まさに政府の日本全体の視点と、知事・市長たちの地域の視点がぶつかり合っている。

(略)