感染症対策の基本「ボヤはボヤのうちに消せ」の本当の意味

ワクチンや特効薬のない感染症への対策の基本は、「ボヤはボヤのうちに消せ」である。ボヤから火が回り、大火事となってからでは手が付けられなくなる。大火事となればその消火作業に莫大な労力がかかるが、ボヤのうちなら、そこそこの労力でなんとかなる。

さらにボヤを消したらできる限り早く日常生活を取り戻すことも重要だ。ボヤを消した後も日常生活が戻らなければ意味がない。ボヤを消すこと自体が目的なのではなく、消すことで「日常生活を取り戻すこと」が目的なのだ。

ボヤをボヤのうちに消す。そして日常生活を素早く取り戻す。そしてまたボヤが発生したらそれを素早く消す。小難しい専門家の理屈でなくても、この繰り返しこそが感染症対策の基本であることは誰もが直感でわかることだ。

橋下 徹『トランプに学ぶ 現状打破の鉄則』(プレジデント社)
橋下 徹『トランプに学ぶ 現状打破の鉄則』(プレジデント社)

では、このようなボヤ消火作業は、政府がやるべきなのか、知事・市長がやるべきなのか。僕は、知事・市長がやるべきだというのが持論だ。

というのも、日本全体の視点を持つ「政府」が、各地域の感染のボヤを細かく、迅速・的確に見つけることができるだろうか? 政府が各地域の医療体制の状況を細かく把握することができるだろうか? 政府が感染拡大の状況を見ながら、ベッド数確保の調整をすることができるだろうか?

そんなことは不可能である。

Go To キャンペーンを実施すれば、必ず各地域で感染のボヤが生じる。その時には誰が責任をもって対応するのか?

必死にベッド数を確保し、感染拡大の抑制に努力をしていている知事・市長たちの努力が、Go To キャンペーンによって水の泡になったときにも、また知事・市長たちは黙々と医療体制の強化と感染拡大抑止のために汗を流すのだろうか。

僕が知事・市長なら「政府が勝手にGo To キャンペーンを実施して感染を拡大したんだから、その責任は政府がとってくれ。今後は僕はベッド数の確保や感染拡大抑止のために汗を流すことは止める。その権限と責任をすべて政府に返上する」と“大政奉還”を宣言するね。

(略)

(ここまでリード文を除き約2600字、メールマガジン全文は約1万2300字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.208(7月21日配信)の本論を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【菅義偉官房長官を直撃】「Go To トラベル」大混乱! 国は財源を用意し、地方に権限と責任を譲るべきだ》特集です。

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