塾選び成功のポイントは「わが子の特性を把握すること」

一般的に中学受験は早熟な子に向いていると言われますが、必ずしもマイペースな子に向いていないというわけでもありません。お子さんが中学受験に向くか向かないかを判断する前に、お子さんの性格を長所・短所の両面から客観的に見て、お子さんが「ここなら頑張れそう!」と気持ちが乗ってくる塾を選ぶことが大切なのです。

考えてもみてください。例えば、あなたが靴を買うとき、家のクローゼットにどんな服があるかを思い返して、それに合ったものを買いませんか? その日の夕飯の献立を考えるときも、まずは冷蔵庫の中身を見てから買い物へ行くはずです。それなのに、こと塾選びに関しては、わが子の性格を見ずにブランド名だけで塾を選ぶ親御さんが多い。その結果、お子さんの性格と塾の方針にミスマッチが生じ、失敗してしまうケースが出てくるのです。

塾選びを成功させる最大のポイントは、わが子の特性をできるだけ正確に把握することです。

例えば、学力面で言えば「計算力・暗記力・集中力」の有無など、性格面で言えば「気が強いか否か」といった点で、どんな塾と相性がいいかがおおまかに分かれてきます。SAPIXや日能研のようにテストの成績で生徒を競わせて鍛えようとする塾は、勝ち気で、自尊心の強い子に向いているでしょう。逆に、慎重な子、まじめで言われたことをコツコツこなせる子には、四谷大塚や早稲田アカデミーが向いていると言えます。

見極めるのは性格だけではありません。中学受験は長期戦です。わが子が勉強に向き合える体力・気力がどれくらいあるかも親はよく観察し、欲目なしにわが子に合った塾を選びましょう。

親ができないことを、塾というプロに頼む

塾と子どものマッチングはとても大切なことです。けれども、親のサポートなしではうまくはいきません。最近増えている共働き家庭にとって一番の悩みは、子どもと過ごす時間に制限があることだと思います。

西村則康・小川大介『中学受験基本のキ! 第4版』(日経BP)

けれども、それも塾の選び方次第です。

塾を選ぶときは子どもの性格を考慮することに加え、自分の家が求めている役割を果たしてくれるのはどこかという視点で選ぶことも重要です。例えば、子どもと一緒に過ごす時間が少ない家庭は、宿題チェックを親がやるのか、塾がやるのかで、親の負担が変わってきます。宿題チェックを親がしなければいけない塾しか選択肢になければ、宿題が比較的少ない塾を選ぶといいでしょう。

宿題のチェック程度ならできるけれど、勉強を教える時間まではないという家庭は、勉強のやり方をしっかり教えてくれる塾を選ぶようにしましょう。親ができないことをプロに頼むという考え方で、賢く塾を活用するのです。誰が何をするかという役割を明確にし、親と塾で子どもをサポートする。それが中学受験の理想の形なのです。

(構成=越南小町)
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