蒲島知事は持論を引っ込めダム建設を進めることも考えるべき

橋下 徹『トランプに学ぶ 現状打破の鉄則』(プレジデント社)

確かに約50年も前に計画された川辺川ダムによる治水計画は100点満点のものではないのであろう。環境へのマイナスの影響が様々あるのであろう。だからダムを中止したいという蒲島知事の気持ちはわかる。

しかし、その「気持ち」だけでダム反対を唱えるのは、インテリや無責任な反対運動体と何ら変わらない。

蒲島知事には、ダムによらない治水計画を「一定の期限内に」作り上げる責任があったし、その期限が守れないのであれば、自分のダム中止という政治方針を諦めるべきだった。

蒲島知事も色々と努力をされていたのだと思う。しかし政治は結果だ。蒲島知事が検討したダムによらない治水計画は、実現するまでに50年という歳月とダム建設と比べてみても膨大な費用がかかるという。

これではいくらダム中止を唱えてみても、実現できない夢を語っているのと同じだ。

このようなときには、政治家は持論を「諦める」という選択をするしかない。ここが学者やインテリとの違いだ。学者やインテリたちには責任がないので、自分の夢を永遠に語るだけでいい。

自分の政治方針を諦めるというのは政治家にとって最も辛いことだ。自分の気持ちの納得感だけでなく、世間からボロカスに批判される。ブレた、実行力がない、とね。

それでもダムによらない具体的な治水計画を作ることができなければ、計画不在となって最悪の事態を招く。このような場合、国民、市民のことを考えれば、政治家は自分のメンツを捨てて、自分の政治方針を堂々と諦めて従来の計画に戻るべきだ。そのような勇気が政治家には必要だ。

(略)

(ここまでリード文を除き約2900字、メールマガジン全文は約1万5600字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.206(7月7日配信)の本論を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【熊本・球磨川大水害】蒲島郁夫知事による12年前の川辺川ダム「建設中止」プロセスには何が不足していたか》特集です。

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