中小企業などに最大200万円を支給する「持続化給付金」の事業をめぐり、外部委託を繰り返す仕組みが国会で問題視されている。元経済産業省職員の高辻成彦氏は「委託事業は補助金制度と異なり、委託先を担当の職員が自由に決められる。担当者は委託先を客観的に選ぶべきだが、以前から親密だったことが報じられており、問題がある」という――。
委託先との親密さを疑われても否定できない制度的要因
6月11日発売の週刊文春は、持続化給付金事務事業を担当する中小企業庁の前田泰宏長官が2017年、アメリカで開いたパーティーに、この事業の委託先であるサービスデザイン推進協議会の業務執行理事を務める平川健司氏(当時・電通社員)が出席していたと報じた。
前田長官は当時、大臣官房審議官という幹部の立場にあった。米テキサス州で開かれた企業関連のイベントに参加し、近くのアパートを借りて平川氏らとパーティーを開いたという。前田長官は11日、参院予算員会に出席して事実関係を認めた。
持続化給付金事務事業をめぐっては、事業者に対する入札前のヒアリングを行った点にも批判が集まっている。入札前の経済産業省担当者と、入札関係者との面談時間は、サービスデザイン推進協議会は3回で3時間に対して、デロイトトーマツフィナンシャルアドバイザリー合同会社は1回で1時間だったことも報じられた。
経済産業省のルールでは、事前接触の際は各社に同等の時間を提供するよう求めているが、徹底されていなかった。
こうした報道が出れば、委託先との親密さが疑われ、国民の不信を招くのは避けられない。しかし、問題の根源は、委託事業の実施にチェック機能が働いていないことにあり、今後は外部有識者によるチェックが可能な体制を整備していく必要がある。