好調の「やっぱり」と低迷の「いきなり」からわかること

「やっぱりステーキ」の魅力は、あくまでその土地に根差した、いつでも入れて居心地の良い店づくりにあるのだろう。吉祥寺店は、テラス席でステーキ業界初のペット同伴での食事が可能だが、これもそうした店づくりの一環だという。

テクニカルアナリストの馬渕磨理子氏も「『いきなり!ステーキ』の定番は、脂身と赤身のバランスが程よい『リブロースステーキ』。300gで2070円(税込み)と、グラム数が多いものの、値段は倍以上。週に何度も食べられるものではない。一方『やっぱりステーキ』はさっぱりとした肉を中心とし、値段もお手頃。毎日食べてもいい『日常食』になるポイントを押さえている」と指摘する。

「いきなり!ステーキ」運営のペッパーフードサービスに「やっぱりステーキ」の店づくりについてどう捉えているのか問い合わせたものの、「今はお答えできない」とのことだった。一方で、義元氏はこう語る。

「(いきなり!ステーキのことは)業界のパイオニアとして尊敬しています。ステーキが手軽に食べられるようになったのは『いきなり!ステーキ』のおかげです。差別化という点では、1000円でステーキが食べることができ、ライス、スープ、サラダが食べ放題ということがあります。ですが、これからもまだまだ仕掛けますので楽しみにしていてください」

ステーキ業界の常識を覆し客の心をつかんできた「やっぱりステーキ」。義元氏が仕掛ける次の一手はどのようなものなのか。その一手がコロナ後のステーキ業界、ひいては飲食業界の未来を指し示すのは間違いないだろう。

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