そもそも「やっぱりステーキ」とは何者か

「やっぱりステーキ」は株式会社ディーズプランニングが運営する沖縄発の格安ステーキ店だ。2015年に那覇市松山で1号店を開店して以来、吉祥寺店を含め全国51店舗にまで拡大した。「赤身肉メインで、税込み1000円」という「安くてうまい」を徹底する経営にファンがつき、新店舗をオープンするたびにうわさを聞きつけた地元の人たちによって大行列が生まれているという。

沖縄には根強いステーキ文化がある。アメリカによる統治時代にアメリカのステーキ食が浸透し、また1991年に牛肉輸入自由化となる以前に関税率が優遇されていたこともあり、ステーキ文化が醸成した。飲み会のあとには「締めのラーメン」ではなく「締めのステーキ」を食べるのが普通だというし、「やっぱりステーキ」が沖縄県内のみで24店舗あることを踏まえると、沖縄人のステーキ愛は相当のものなのだろうと想像される。実際、沖縄在住の30代男性は「『やっぱりステーキ』に限らず、誰しもに行きつけのステーキ屋さんがあるんじゃないか」と語る。

店内に飾られた心得にも「お酒の締めで食べること」とある。
筆者撮影
店内に飾られた心得にも「お酒の締めで食べること」とある。

とにかく安くて! うまい! 東京でも沖縄の味を発信

人気なのはやはり店名を冠した「やっぱりステーキ」。150g1000円というお手頃価格で、ミスジ肉を富士山溶岩石使用の冷めにくいプレートの上で好みの焼き加減にして食す。赤身肉というとゴリゴリと硬いイメージがあるかもしれないが、食べてみると驚くほどの柔らかさで芳醇な香りが鼻に抜ける。ライスは黒米、白米の二種類で、サラダ、スープ付き、しかもそれぞれ食べ放題となっている。

切り分けると赤い断面が食欲をそそる。
筆者撮影
切り分けると赤い断面が食欲をそそる。

味については、とにかく柔らかくておいしい。そしてサッパリとした味で胃もたれしない。いくらでも食べられそうな気がしてくるあたり、締めのステーキという文化があることにも納得がいく。飲食店勤務の20代の女性も「150gでこの味なら少食の人でも安心して頼める。ステーキというとガッツリしたイメージがあったけれど、こんなステーキもあるんだと驚いた。これなら通いたい」と従来のステーキ観を覆す味わいに好意的だ。

テーブルの上の豊富なトッピングもうれしい。タレ用の皿は3つに区切られていて、複数のタレを楽しめるような配慮がなされている。筆者が特におススメしたいのが「シークワーサーポン酢」。芳醇ほうじゅんな肉の香りに爽やかなシークワーサーという組み合わせが病みつきになる。また、サラダ用のシークワーサードレッシングや、オリオンビール、泡盛が用意されており、東京にいながら沖縄の味を存分に感じられるようになっている。サッパリとした肉にオリオンビールの軽さが驚くほど合うのだ。

※編集部註:初出時、「やっぱりステーキ」でのステーキの価格を「180g1000円」としていましたが、正しくは「150g1000円」でした。関連箇所も含めて訂正します。また次ページの「替え肉」に関して「90g単位」で注文できると記載していましたが、正しくは「100g単位」でこちらも訂正します。(6月30日13時37分追記)

タレ皿の平面部分にわさびなど固体のトッピングも載せることができる。
筆者撮影
タレ皿の平面部分にわさびなどのトッピングも載せることができる。