より良い睡眠で生産性を上げる

もしもあなたの会社に「眠らない奴がえらい」という風潮があるなら、睡眠の効用を宣伝してみてはどうだろう。たっぷり眠れば生産性が上がり、創造性がアップして、病気のコストも減る。どう考えても、会社の利益になるわけだ。そうやって説得すれば、上司や人事部の意識も変わり、眠りを推奨してくれるかもしれない。

グレッグ・マキューン『エッセンシャル思考』(かんき出版)

チャールズ・A・ツァイスラーは先ほどの記事で、企業の生産性を上げるために「夜のフライトで帰ってきた翌日は出社禁止」「残業した場合、翌日は出社時間を遅くする」といったルールを提唱している。社員という資産を守ることが、会社の利益のためにも重要なのだ。

私は最近、取材のためにグーグル本社を訪れ、有名な「昼寝ポッド」を体験してきた。

カプセル型宇宙船を思わせる白い球体の中で、深くリクライニングした体勢になる。上半身はカバーされているが、完全には隠れていない状態だ。半ば周囲を意識しながら、だんだん眠りが近づいてくる。そして30分後、ポッドが震えてやさしく起こしてくれる。深く眠りすぎないので、自然に目を覚ますことが可能だ。

昼寝ポッドに入ったあとは、生き返ったようにすっきりしていた。すべてがクリアで、頭がどこまでも冴えていた。

グーグルの社員は、カレンダーに登録すればいつでも昼寝ポッドを使うことができる。

週にどれくらいの人が使うのかと見てみたら、予約は1件しか入っていなかった。もっと活用されてもよさそうなものだ。それでも、昼寝ポッドがあるというだけで、「睡眠重視」という企業のメッセージになっていると思う。

多数のどうでもいい(あるいは普通に良い)選択肢のなかから、本当に重要なことを見分けるためには、優先順位をつけることが不可欠だ。数多くのチャンスは、どれも同じくらい魅力的に見えるかもしれない。だが、本当に重要なことはめったにない。ほとんどはただのゴミだ。睡眠不足が困るのは、そこを見極める能力が落ちて、優先順位がつけられなくなるからである。

たっぷり眠ろう。そうすれば洞察力が高まり、発想が広がり、より少ない時間でより良い成果を上げることができる。

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