仕事で成果を出すためには、睡眠時間はどれぐらい取るべきなのか。米シリコンバレーでアップルやグーグルなどのコンサルティングをしているグレッグ・マキューン氏は、「一流ほど睡眠時間をたっぷりと取っている。アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏も8時間は眠る」という――。

※本稿は、グレッグ・マキューン『エッセンシャル思考』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

ベンチで寝ている男
写真=iStock.com/Hakase_
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働きすぎることはあまりにも簡単だ

私たちの最大の資産は、自分自身だ。

自分への投資を怠り、心と体をないがしろにすると、価値を生み出すための元手がなくなってしまう。自分という資産を守らなければ、世の中のために働くこともできないのだ。ところが現実には、優秀な人たちがどんどん自分を壊している。その最大の原因は、睡眠不足である。

国際的マイクロファイナンス会社のCEOなどを務め、世界経済フォーラムの「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選ばれたこともあるジェフは、多忙な日々の中で慢性的な睡眠不足の状態を続けることでとうとう体を壊し、このまま一生薬に頼って暮らすか、1~2年のあいだあらゆる仕事を離れて静養するかの二択を医者に迫られた。

最終的に、彼はストレスのもとをすべて取り除くことにし、すべての仕事をキャンセルして、自分の会社も辞めた。

回復のことだけを考えて暮らしはじめたジェフは、食生活を改善し、家族を連れて南フランスに転居。快適な気候と健全な生活のおかげで、体は確実に回復してきた。

ジェフのように休むことを知らず、つねにエネルギッシュに活動している人は、やがて負荷に耐えかねて壊れてしまう。だから、体をでたらめに酷使するのではなく、戦略的に使うことを考えなくてはならない。自分の力をどう配分し、どのように栄養を補給するのか。ただひたすらに突っ走っていたら、すぐに燃料切れして一歩も進めなくなる。

ジェフは療養生活のなかで、自分の生き方をゆっくりと見つめ直した。そして気づいたのは、働きすぎることはあまりにも簡単だという事実だった。活動的で向上心あふれる人にとって、自分を酷使するのは苦痛でも何でもない。本当に難しいのは、働きすぎないように制御することだ。彼は自分と同じようなハードワーカーたちに、こう語りかける。

「自分の能力に自信があるなら、ひとつ大きな難題に挑戦してみてください。目の前のチャンスをきっぱりと断り、昼寝をするんです」