いま、有力神社が次々に離脱している理由

別に神社だからといって、神社本庁に加盟しなければならない法的義務などはない。ただ神社本庁は民間団体ではあるものの、戦前の「国家神道」体制を統括した行政機関「神祇院」を形式的に継承している組織で、小さいところも含めれば全国に十数万ほどあるとされる神社の約8万が加盟、まさに戦後の神社界を指導、けん引してきた存在なのである。

しかしそんな神社本庁が近年、かつてない勢いで揺れている。特に深刻なのが今回の金刀比羅宮のように、全国各地の有名、有力神社が複数、神社本庁から離脱しているという騒ぎである。

有力神社の神社本庁脱退というのは、過去にも例がないわけではないのだが、少なくとも20世紀が終わるまでは「めったにないこと」であった。それが21世紀に入って以降、20年たらずで、明治神宮(東京都、04年離脱後、10年に復帰)、気多大社(石川県、10年離脱)、梨木神社(京都府、13年離脱)、富岡八幡宮(東京都、17年離脱)、建勲神社(京都府、19年離脱)と、全国各地の有名神社が次々と神社本庁から離脱。また最終的には離脱とならなかったものの、09年には宇佐八幡宮(大分県)でも離脱騒動が持ち上がったことがある。そして今回、金刀比羅宮までもが神社本庁からの離脱を決断した。

偉そうに「上納金だけ持ってこい」という態度にいら立ち

これらの神社の離脱原因はケース・バイ・ケースの側面も大きいが、あえて共通した点を挙げれば「神社本庁の求心力低下」ということに尽きる。現代人の宗教離れといったことが盛んに叫ばれるなかで、神社仏閣に大きな寄付をする地主や地場企業なども急減。また特に地方で深刻に進む過疎化は、神社の担い手である地域社会の基盤を崩しつつあり、「日本の神社は10年後、半分くらいになっている」といった話が、神主たちの間で真剣に語られているような状況でもある。しかし神社本庁は「そうした状況に効果的な具体策を立てるわけでもなく、偉そうに『上納金だけ持ってこい』という態度のまま」(ある東北の神社宮司)であると、少なくとも多くの一般の神主たちからは見られている現実がある。

そうした神社本庁への不信感を特に高めたのが、17年に発覚した「土地ころがし問題」だ。神社本庁の職員宿舎が15年、一部幹部と関係のある外部事業者に不当に安く売却され、その事業者がすぐ、また別の事業者に高額で転売していたのではないかという疑惑で、当時の神社本庁職員の告発により発覚。ただし神社本庁は疑惑を全面否定したうえでこの職員を処分し、それを不服とした職員との裁判がいまなお継続中だ。この事件では全国の少なくない神社界関係者たちが、公然と告発した職員を支持する動きをも見せ、「神社本庁に対する不信感がかつてなく増大した」(神社本庁関係者)とする声もある。