不況にポッキリ折れないための、〈レジリエンス〉な働き方

〈レジリエンス〉とは多様性でもある。ひとつの職場に人生のすべてをささげる生き方よりは、仕事のほかに家族や友人、副業や趣味、余暇や学びなど、多様な経験や居場所を確保できている人のほうが〈レジリエンス〉は強い。ひとつがダメになっても、生きがいを再び見いだすチャンスがあるからだ。

その意味でも、働き方の多様性が今後広がることを期待したい。フルタイム勤務・ショートタイム勤務・出社勤務・リモート勤務・人生のサバティカルを取り、視野や経験を広げるチャンスも欲しいものだ。そのためには新卒一括採用や、終身雇用、正規・非正規雇用の明確な区別が足かせになる。

日本には「失われた20年」と呼ばれる暗黒の時代がある。今回のコロナで、再びその轍を踏むことは、なんとしても避けたいものだ。

バブル崩壊後の超就職氷河期時代に企業面接に行った知人は、バブル世代の面接官から「生まれる時代を選ぶのも才能のうち」と真顔でいわれて帰ってきた。出来の悪い冗談だったと信じたいが、この言葉の半分は真実だ。生まれた年がたった1年違っただけで、かたや正社員採用、かたや非正規として運命が分かれ、「コロナ世代」として生涯賃金や経験値、人生のあらゆる選択肢が狭まれてはならない。

欧米で進む「ワークシェア」や「BI」導入論

世界でも新たな取り組みが始まっている。「ワークシェア」の導入や、「ベーシック・インカム」の是非を問う国民の声が高まっているのだ。

一人当たりの労働時間を短縮し、全体の雇用を維持する「ワークシェア」は、これまでも欧州を中心に取り入れられてきたが、コロナを機に米国でも申請が100万件を超えてきた。欧州全体では5000万人超。もともとワークシェア文化が根付いていたドイツでは、全就業者の3割が活用している。

日本でも「ワークシェア」的働き方を求める人は多い。元銀行員、元貿易事務員、元医療事務員……、本来ハイスペックなバリキャリ女性が結婚して子供を産み、「家庭優先」で働くとなると、多くの場合スーパーのレジ打ちや飲食店アルバイトしか選択肢がないという現実がある。男性、女性を問わず、個人の価値観やライフステージで勤務形態や勤務時間を自由に選べる仕組みを取り入れることで、むしろ社会の生産性はアップするのではないか。