私たちの生き方はもっと多様であっていいはずだ
もう一つ欧州で盛り上がりつつあるのが、「ベーシック・インカム」(BI)導入の機運である。コロナによる休業補償や現金給付の手厚さが話題になったドイツでは、以前からBIを求める声が一部にあり、今回改めてオンライン署名で46万以上の賛成票が集まっている。実際に導入を決めたスペインのような国もある。
失業や事故、災害や健康不良などの外的衝撃が降りかかっても、最低限の収入があれば、人は再び〈回復〉できる。新しいことに〈挑戦〉することもできる。世界各国のBI実証実験では、むしろBI導入で国家の福祉対策費は減り、人々の就労意欲は増すという結果も出てきている。
いずれにしても私たちの働き方、生き方はもっと多様であっていいはずだ。一部の人間は過労死寸前まで働いて、一部の人間は「健康で文化的な最低限度の生活」も送れないほど貧困にあえぐ。この状態は少なくとも〈レジリエンス〉のある国家とは言い難い。
毎年のように起こる地震や災害、少子高齢化問題があっても、ジリ貧国にならないために、そろそろ多様な働き方、生き方改革が議論されてもいいのではないだろうか。