名門パブリックスクールで寮長に

【三宅】そんなハリーさんですが、生徒会長になられたんですね。

撮影=原貴彦

【ハリー】はい。11歳から13歳まではロンドンのヒル・ハウスというプレップスクール(パブリックスクール進学を目指す生徒のための私立小学校)に通っていて、そこで日本の生徒会長にあたるプリーフェクト(prefect)になりました。

そこからウィンチェスター・カレッジという全寮制のパブリックスクール(13歳~18歳の子供を教育するイギリスの私立学校の中でもトップの10%を構成するエリート校の名称)に進み、最後の年に日本語でいう寮長、つまり生徒の代表になりました。

【三宅】それはすごい。ウィンチェスターといえば、名門中の名門ですからね。

【ハリー】実は父も祖父もウィンチェスター・カレッジで寮長になっていたのです。だから、僕がもし父親になって息子ができたら、我が家の伝統としてウィンチェスターに送りたいと思っています。

【三宅】学校での学びと、全寮制の仲間との交流。貴重な体験ですよね。

【ハリー】もちろんすべてが楽しかったわけではなく、しんどいときもありました。上下関係がものすごくしっかりした世界でしたが、ウィンチェスターで得た絆は永久に続くんですよ。当時の仲間とはいまでもSNSでつながっています。この間も、シリコンバレーで働いているインド人の同級生と12年ぶりに会いました。彼はもう結婚して子供もいる。だけど、当時の話題になった瞬間、急に12年前にタイムスリップして、みんなの顔と声、香りまでを鮮明に思い出すんです。それだけ濃厚なんですよ。

「人生を楽しむ」ために必要な3つの力

【三宅】パブリックスクールでは、やはりジェントルマンになるための厳格なトレーニングを積むわけですか?

【ハリー】パブリックスクールのベースには、そういう伝統があると思います。しかし、ウィンチェスターでは、「ジェントルマンとしての心構え」というよりも、人として、「人生をより楽しむためには何が必要なのか」を学んだ気がします。

【三宅】人生を楽しむ、ですか。

【ハリー】人によっていろいろな定義があると思いますが、いわゆるヘドニズム(快楽主義)のことではなく、人生をとことん全うするために自分が好きなことを徹底的に追求していく、という意味ですね。

【三宅】そのためにはどんなことが必要なのでしょう?

【ハリー】まずは、人が言ったことにただ従うのではなく、自分なりに判断を下せるようになること。つまり「一人で考える力」ですね。あとは他人から受け取った言葉をちゃんとキャッチボールできる「コミュニケーション力」。そして社会に出たときの一番の武器となる「個性」。このあたりでしょうか。

【三宅】なるほど、日本人がことごとく弱いところですね。