視覚や触覚などの五感が過敏になる特性を「感覚過敏」と呼ぶ。『カビンくんとドンマちゃん 感覚過敏と感覚鈍麻の感じ方』(ワニブックス)の著者・加藤路瑛さんは「学校の窓側の席は日差しがまぶしくて授業に集中にできず、学校指定のポロシャツは痛くて着ることができなかった」という――。(第2回/全2回)
コンピューター作業で目が疲れている女性
写真=iStock.com/mapo
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「日差しがまぶしくて仕事ができない…」

「ダメだ、まぶしい」……。出版社に勤めるKさんは、今日もだまって職場のロールカーテンを下ろす。「せっかく開けたばかりなのに」というアルバイトの不思議そうな顔に申し訳なさを感じるものの、こんなに光の降り注ぐ場所で、仕事はできない。

5月を過ぎ、日差しが夏に変わった頃から、職場で原因不明の頭痛が起きるようになった。よく言われる気象病も疑ったが、逆に、頭痛は決まって天気の良い日に起こる。加えて、頭痛はデスクが窓際の位置へ“配置替え”されてから起こるようになったことに気づいた。本格的な夏を迎える頃には、頭痛のみならず、目の痛みも感じるようになっていた。

窓際に位置するKさんのデスクは、コピー機と細い通路を挟むものの、天気の良い日は直射日光を受けることになる。そんな日は、目の前の白いゲラ刷り(紙)やPCの画面に光が反射し、何が書いてあるか読めないこともあるという。これでは仕事にならない……。そのため、編集部全体が薄暗くなることを気にしながらも、窓のロールカーテンを黙って下ろすようになったという。

晴れた日より、雨や曇りの日のほうが嬉しい

しかし、Kさんが苦手なのは太陽光ばかりではない。夜になると、今度は蛍光灯の灯りが気になる。これは今に始まったことではなく、幼少期から“苦手”なのだそうだ。もちろん、自宅に蛍光灯はない。「暖色の間接照明でないと、まぶしくて落ち着かないですし、(蛍光灯だと)やはり頭痛が起こりやすい」とKさんは話す。そして、こう続けた。

「晴れた日は気持ちいいですよね、なんてよく言いますが、はっきり言って雨や曇りの日のほうがうれしい。夏の晴れた日に屋外で子どもの行事などがあると、ただただ、地獄です。『天気がよくてよかった!』なんていう周囲の声に生返事をしつつ、サングラスに帽子、日傘と完全防備で挑むのですが、それでも外出先で頭痛薬を飲むことになるんですよね……」