おまけ・イギリスの朝食は缶詰で始まる

ハインツ/ベイクドビーンズ缶

輸入食品店で時々見かける「ベイクドビーンズ」缶。あれがずっと謎の存在でありました。中身は白いんげん豆をトマトソースで柔らか~く煮込んだもので、すぐに「ベイクドなのに焼いてないじゃん」と突っ込みたくなる。

撮影=黒川勇人
ハインツ/ベイクドビーンズ 300~400円ほど

砂糖が入っているので甘く、そのわりに塩気が少ないから全体がぼやっとした味わいだ。おかずにしては甘すぎるし、おやつにしては料理感が強すぎる。で、結局タバスコを振りかけたり、ベーコンを加えてポーク&ビーンズ風にしたりと、自分でもよく判らない料理にして食べていた。

しかしロンドンに取材に行って、ようやく本式の食べ方が判明したのであります。その名は「ビーンズ・オン・トースト」。

撮影=黒川勇人
ビーンズ・オン・トーストは英国のスタンダードな朝食

これがそのビーンズ・オン・トーストだ。かりかりに焼いたトーストにバターをたっぷり塗り、上から温めたベイクドビーンズ缶を掛けるという、ごく素朴なものだった。写真のように目玉焼きを加えたり、ソーセージを添えて食べる人もいる。

ロンドン在住の友人によると、英国ではこの料理が朝食の大定番だそうで、自宅でもお店でも食べるという。中には365日、毎日食べ続ける人もいるらしい(それはどうなの?と思うが、妙なこだわりを持つのが英国人っぽい)。

かりかりトーストと柔らかい豆という真逆の食感がなかなかよく、例えて申せばあんかけかた焼きそば。ぼやっとした味は優しさに変わり、朝食にうってつけなのであります。たまにはこんな朝食で英国気分を味わうのもいいもんです。

ご当地缶詰の魅力は「未知への冒険」&「過去への邂逅」

ご当地缶詰には2つの魅力がある。1つは未知への冒険で、もう1つは過去への邂逅であります。

未知への冒険はすなわち、行ったことのない土地の食文化を妄想しながら味わうこと。そして過去への邂逅は、訪れたことのある土地を缶詰を食べることで思い出すこと。

今回ご紹介した5缶+1缶は、どれもその土地の食文化が色濃く出ているものであり、かつ絶品であります(最後の1缶はネタですが)。みなさんもぜひお取り寄せして、旅行気分を味わってください。

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