カルシウムそのものが脳神経の興奮を抑える働きがあるため、日頃から体に蓄えておくと、ストレスを受けたときの“備え”になるという。乳製品やゴマなどに豊富に含まれる。

また、イライラを抑えたいなら、脳神経を安定させる働きがあるギャバが含まれているものを。発芽玄米やヨーグルト、納豆などの発酵食品が代表的だ。ホットのギャバロン茶も、消化管を温め、リラックスの働きがある副交感神経を刺激するため心が落ち着く。一方で、気持ちが沈みがちなときはカレーやキムチ料理などを食べると交感神経が刺激されて元気が出やすい。

だるくてやる気が出ない、心身に疲れがたまっていると感じるときは、鶏ムネ肉がイチオシ。鶏ムネ肉に豊富に含まれる成分「イミダゾールペプチド」を1日2回、200ミリグラム、2週間取り続けると、抗疲労効果がある。

「肉の量に換算すると1日100グラム程度。市販のサラダチキンをストックして、ラーメンの具材やサラダにトッピングするといいでしょう。肉体疲労にも、精神疲労にも効きます」(同)

イミダゾールペプチドは最高時速100キロで泳ぎ続けるマグロやカツオ、数千キロの距離を休むことなく飛び続ける渡り鳥の翼の付け根など、動物のもっとも酷使される部位に含まれる成分。鶏肉を毎日食べるのが大変なときは、サプリメントで取ってもOK。

それでは続いてストレスに対抗するサプリメント(サプリ)について解説しよう。まずサプリは「食品」の扱いで、国が科学的な根拠と効果を認めた「薬(医薬品)」とは違うことを頭に入れておきたい。そのため、薬のような表示ができないという規制がある。パッケージに飲む時間などの「用法」を記載せず「一日に◯粒程度」といった表現が多い。そういうと「食品だからたくさん飲んでも大丈夫」ととらえる人がいるが、特定の成分を凝縮したサプリは多量摂取により、かえって体に害を及ぼすことがある。

ビタミンCのサプリは忙しいときの強い味方

もちろん良い面もある。病気と診断される状態になる前に体をサポートできる点だ。管理栄養士で名古屋経済大学准教授の早川麻理子氏が解説する。

「例えば親が倒れて介護をするときに、菓子パン生活が続いたとします。“一時的な無理”に対して、体は何とか健康を維持しようとする仕組みが備わっていますが、栄養素が足りない状態が続けば細胞や臓器に負担がかかり、免疫力も低下する。忙しくて炭水化物主体の食事が続くときは『マルチビタミン&ミネラル』を取るといいでしょう。ビタミンやミネラルは、炭水化物(糖質)や脂質をエネルギーに代謝するために必要なんです。さらに疲れたなと思うときは、『ビタミンB群』のサプリを追加してください」