危機の中で求められる人材とは

しかし、今井氏は悪名高い“アベノマスク”の発案者と言われている。文春は同じ官邸担当記者の話として「会見などで矢面に立つのは菅氏でしたが、実務は今井―佐伯(佐伯耕三首相秘書官、今井氏と同じ経済産業省出身)ラインが指揮していた」と説明。その後、世間からアベノマスクが嘲笑されたのは承知の事実だろう。一方で、菅官房長官が任された「ダイヤモンド・プリンセス号の対応」に関しては「日本での成功例として各国から情報提供を求める問い合わせが相次いでいる」(官邸関係者)。

危機の中で求められる人材は、国民の苦渋を知り、逆境に強く、実務能力がある人物だ。現在の閣僚の中で、その条件に当てはまる人物は菅官房長官だけある。そして、そもそも官房長官というポストは政権の総合調整を担う立場であり、現状のチグハグな危機対応に対して一本筋を通して立て直すのにふさわしい権能を持つ。安倍首相は菅官房長官に目下の危機管理対応を一任し、その手腕を存分に発揮させるべきだ。

その上で、安倍首相はこれまでやり残した政治課題(憲法改正、拉致問題、日ロ交渉など)に自らの政治力を集中させることが望ましい。今のままでは消費税を二度増税しただけの内閣として歴史に名を残すことになる。国民は首相と女房役が力を合わせて、この苦境をいち早く打開することを望んでいる。

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