教育に本当に必要なのは「リワイヤリング」だ

教育はコンピュータと同じで、そのときどきの世代のニーズを満たす用意のあるシステムが必要だ。いまの時代なら、デジタルネイティブがその世代に相当する。また、変化に応じた教育システムを設計、開発し、実際に導入して実行に移す能力や敏捷性を備えたリーダーも必要だ。

ジョン・カウチ、ジェイソン・タウン『Appleのデジタル教育』(かんき出版)

これまでのところ、そうしたシステムもリーダーも生まれていない。現行の教育システムは、その大部分が時代遅れでズレている。システムをよりどころとするユーザー(生徒と教師の両方)のニーズを満たそうと必死にもがき続けている。修正(パッチでの応急処置)や交換(1からやり直し)では、教育システムの問題は解決しない。本当に必要なのはリワイヤリング(配線のやり直し)だ。

教育のOSを、生徒、教師、親、社会がうまくつながるように、学校が創造性や独創的な思考を育める場所になるように更新するのだ。変化に適応するには、すべてが台無しになることを恐れずにシステムをリワイヤリングするしかない。受け身主体の教育から参加主体の学習へ切り替えるのだ。

「教育のリワイヤリング」は、いまの教育が直面している最大の難関への挑戦だ。学習に関するリサーチと最新テクノロジーを活用して、いまの生徒一人ひとりのニーズに即して学習体験をパーソナライズ化する必要がある。

そのためには、子供や子供を教える立場にある人のやる気の出させ方、鍛え方、能力の引きだし方、能力の測り方、評価の仕方に対する考え方を改めることが必要だ。子供が学習し成功する可能性は無限にあるということを理解し、その可能性を解放するのだ。

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