(3)職務の一部を廃止できるか

多くの職に「過去の遺物」的な職務(かつては重要だったが、今はそうではない仕事)が含まれている。仕事量の削減を望んでいる社員が価値の低い仕事を廃止することをまだ検討していない場合には、そうするように促そう。

医療関連企業の、ある副社長は、部長の1人から仕事量を減らしてくれと頼まれたとき、「過去の遺物」を探すよう命じた。それを受けて、部長は自分の現在の仕事のうち廃止できると判断したものを列挙した提案書を作成した。そのうちの一部が実際に廃止され、残りをほかに割り振ることで、仕事量を80%に減らすことができた。ただし、「何を廃止するか判断するのは容易ではない」と副社長は述べている。

(4)チーム全体への影響

ある大手多国籍銀行の小規模なエコノミスト・チームでは、わずか1年のうちに、2人のシニアエコノミストが、生まれたばかりの子どもの世話をするために仕事量を減らさなければならなくなった。どちらの子どもも深刻な健康問題を抱えて生まれてきたのである。

チーフエコノミストの指揮の下、チームは自分たちが行っているすべての仕事をリストアップし、廃止できると判断したものを廃止することにした。さらに、残りの仕事の配分を見直して、これまでシニアエコノミストが行っていた仕事の一部をリサーチアシスタントに任せることにした。これによってシニアエコノミストの仕事量が減り、2人の同僚の仕事の一部を引き受けられるようになった。この作業の結果、チームはより結束を強め、誰かが職場を離れる際に十分なバックアップ態勢を整えるにはどうしたらよいか、より真剣に考えるようになった。

インタビューしたマネジャーのなかには、自分の部署を全体としてとらえることによって、能力開発を加速化すると同時に、コストも削減できたという人もいた。

ある大手製造企業で、プロジェクト・マネジャーが上司に、産休後に仕事量を80%に減らしたいのだが、それは可能だろうかと尋ねた。その上司は、彼女が遂行できなくなる仕事の一部を担当させるために、よりランクの低いプロジェクト・アドミニストレーターというポジションを新設した。

この新しいポジションは、一部の仕事をより低コストで遂行できるようにしただけでなく、結果的に能力開発の強力な手段にもなった。「このポジションから、何人もの優秀なプロジェクト・マネジャーが生まれている。プロジェクト・アドミニストレーターのほとんどが、6カ月後には小さなプロジェクトのマネジメントを単独で行えるようになった」と、この上司は語っている。

(翻訳=ディプロマット)