定員割れを“インバウンド”という秘策で盛り返した大学もある。2019年には、神奈川歯科大学は、721人の在学生のうち留学生が143人。松本歯科大学も544人のうち188人で、台湾や韓国からの学生が多い。留学生は優秀な学生が多く、国試合格率に寄与する。しかも合格後、母国に戻る人も多く、日本の歯科医が増える心配もない。

個々の歯科医を出身大学だけで評価してはいけない

元私立大学教員のS氏は歯学部の実態を分析し、ブログ「(続)とある最底辺歯科医の戯れ言集」で解説する。6年間の学費総額を6年合格率で割った独自の「お得度指数」によると、20年度入試では、私大は昭和大学、朝日大学、明海大学の順に「お得」と評価する。渾身のブログを書き続ける理由を「入り口で誤った選択をする人を、できるだけ少なくしたい。あらかじめ実態を知れば不幸になる人も減らせる」と語る。少子化時代にありながら、若者が路頭に迷いかねない私大歯学部問題に10年以上も根本的な解決策が見いだせないのは、とてももどかしい。

とはいえ、成績上位者に特待生制度を導入している大学は多く、全額免除となれば、国公立大学より少ない負担で卒業できる。偏差値が低い大学にも、6年で卒業し国試に合格する“上澄み”の層が確実にいる。私大歯学部の状況は危機的でも、出身者は別。国試を突破した個々の歯科医を出身大学だけで評価してはいけないだろう。

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