1990年に新設された慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの総合政策学部と環境情報学部で国内での初導入となったAO入試。いまではほぼ10人の大学生のうち1人がAO入試組だ。しかし、急拡大する過程においてさまざまな問題も引き起こした。

専門家が指摘する、絶対に受けさせてはいけないAO入試

大学入試において、「AO入試」の比重が高まっている。早稲田大学、慶應義塾大学をはじめ、メジャーな私立大学は軒並みAO入試を導入している。なかには、3割近くの学生をAO入試で入れている私大もある。2016年度には、京都大学のような最難関の国立大学もAO型入試制度を取り入れた。

文部科学省の資料によれば、大学入学者に占めるAO入試組の割合は、00年度にはわずか1.4%だったのが、17年度には9.1%にまで拡大(図1参照)。つまり、ほぼ10人の大学生のうち1人がAO入試組なのだ。さらに、推薦入試組(35.2%)などと合わせれば、17年度に一般入試以外の方法で大学に入った大学生の割合は、実に、44.6%にも達している。

「AO」とは「Admissions Office」のことで、大学の入試事務局を指し、「大学が求める学生像に合った高校生を、入試事務局が独自に判断してスカウトする」というもの。確かに、多くの大学で、高校時代の活動実績を示す書類の審査、志望動機を問う面接などが選抜方法のメーンとなっているが、「学力検査をしない」というわけではない。そこが推薦入試とは違う。