「メモを取るのが大事とはよくいわれますが、メモを取りさえすればどんな方法でも構わないというわけではありません。メモには正しい取り方があるのです」。そう語るのは、メモの取り方を含め、理解力と発想力を鍛える方法を網羅的にまとめたベストセラー『アウトプット大全』の著者であり、精神科医で脳科学者の樺沢紫苑氏だ。樺沢氏に、ダメなメモの取り方を10パターン挙げてもらった──。

メモを取るべき脳科学的3つの理由

まず、メモを取ることのメリットは脳科学的に3つあります。

精神科医・脳科学者 樺沢紫苑氏

1つ目は、脳の中の思考が可視化されること。たとえレジュメが配られている会議でも、自分で会議の要点をメモにまとめれば、情報を整理し、理解力を深めることができます。

2つ目は、情報を仕入れるためのアンテナが立つこと。たとえば、映画を見るとき。最初から映画の感想メモを取ることを前提にして作品を見れば、どの箇所をメモすべきか、この映画はおもしろいのか、それはなぜなのか、思考をフル回転し、アンテナを立てながら映画を見ることになります。メモを取ることで、ぼーっと映画を見るよりも間違いなく脳が活性化するのです。

3つ目は手を動かすことでより柔軟かつ斬新な発想ができること。米国のプリンストン大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校の共同研究で、ある分野の試験勉強を課したとき、タイピングでメモさせたグループよりも、手書きでメモを取ったグループのほうがよい成績を取ったという実験結果があります。メモは理解力と思考力を高めてくれるのです。